水道料金値上げ の必要性について、埼玉県では県民コメントを募集しました

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 水道用水事業などを所管している埼玉県企業局は、2022年度~2026年度を期間とする「経営5か年計画素案」において 水道料金値上げ に関する県民コメントを募集しました(すでに募集終了、2022年1月12日まで)。

 県民コメントを募集したのには「家庭用水道料金への影響が避けられないが、今後も持続的に水道を供給していくために必要だと理解して欲しい」という思いがあるようです。

水道料金値上げ の必要性(埼玉県の水道業事情)

 人口減や節水機器の普及などにより水道水の需要は近年減少傾向にあることから収入が減少(改善の見込みはない)、その一方で水道設備の修繕更新費用などが必要となっているからです。

 埼玉県企業局は5つの浄水場から県内34市18町3企業団に水道用水を供給しています(2021年現在)。

 供給単価は約20年間変わらず1立方メートル当たり61.78円(税抜)。

 全国平均90.75円(税抜)を下回っていて、埼玉県は関東平野にあって効率的な施設配置ができていることから水道用水供給事業体がある21府県のうち3番目の低さとなっているそうです。

水道料金値上げ 、2043年までに94%の事業者が実施(平均43%増)

 2021年5月、民間企業・EY新日本有限責任監査法人の研究グループが「自治体の水道料金は2043年までに平均43%増の値上げが必要になる(18年度比)」との試算結果を発表しました。

※EY新日本有限責任監査法人は多くの公的機関を監査している

 同研究所は2018年度の水道統計と将来推計人口を基に、25年後の2043年に独立採算で赤字を回避できる水道料金を提示したところ、「全国にある調査対象の事業者のうち94%の事業者で値上げの必要がある」という結果になりました(1232事業者のうち1162事業者)。

水道料金値上げ の背景

 人口減に伴って料金収入が減る一方で、水道管など設備の更新費用がかさむためです。

 人口密度の低い地域は値上げ率が特に高く、最も高額になる北海道夕張市では4倍以上野値上げが必要と試算されました。

 月額 6,841円(2018年度)→ 28,956円(2043年)

水道料金値上げ の根底にある問題点

 人口減による料金収入の減少と設備の更新に費用が掛かる点は予想できたことであるのに、今まであまり大きく取り沙汰されないのは次のような問題があるからです。

  • 一般会計からの繰り入れが常態化して水道財政が厳しい状況にあるとの認識が薄れている
  • 自治体の区分があるため広域化による施設の統廃合など抜本的な経営改善から目をそらしている

 水道事業は本来なら独立採算が原則ですが、全国40%の自治体の水道事業が料金収入で運営経費が賄えないため自治体の一般会計からの繰り入れなどで赤字を補填しています(2019年度 厚生労働省調べ)。

 試算のような大幅な値上げが必要になると、一般会計で不足分を補う事業の割合が増えると予想されます。

水道料金値上げ の改善に「事業の民営化」はリスクが高い

 岩手県雫石町にある35軒の民家やペンションが水道を提供している民営経営の水道事業者から51万円を追加徴収されるというということがあり、供給停止騒ぎまで発展した実例があるからです。

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