埼玉と群馬にあるスーパー「でりしゃす」の総菜を食べた人が、腸管出血性大腸O157に感染した集団食中毒で初の死者が出ました。
亡くなったのは3歳の女の子で、女の子の体内からはO157が検出。
同じ年ごろの子を持つ母として、O157に対する警戒心を改めました。
細菌O157は1996年に大阪堺市で発生した集団食中毒の原因菌で、このときも3人の女児が亡くなりました(罹患者9,523人のうち7,892人が児童)。
この事件が私が「O157」をを知ったきっかけです。
今回はO157について。
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O157(O-157)感染症とは?
O157とは?
O157は病原性大腸菌の1つです。
ほとんどの大腸菌は無害ですが、大腸菌のうち「病原性大腸菌」に感染すると下痢を起こし、悪化すると意識障害や死亡することがあります。
病原性大腸菌には4種類あり、O157はそのうちの1つ『腸管出血性大腸菌』の代表的な細菌です。
O157はベロ毒素を出し溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を起こします。
今回3歳の女の子が亡くなった病名はこの「溶血性尿毒症症候群」になります。
O157の感染力
O157は1~2μmの大きさの細菌で、100個程度が体内に入っただけで病気を起こします。
多くの食中毒では100万個以上の細菌が身体に入らないと起こらないため、O157の感染力は「非常に強い」と言えます。
O157の感染ルート(注意点)
O157の感染は家畜の糞尿から始まります。
そして感染した家畜の肉だけでなく、それに関する水や堆肥が原因で感染することもあるので、極端な例を言えば生野菜などからも感染することもあります。
つまり、O157の感染源はありとあらゆるもの。
普通に生活している中で完全にO157を排除することは難しいです。
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O157にできるだけ感染しないようにするには?
・料理をする前に石けんでよく手を洗う
・食材はしっかり加熱する
・生で食べる野菜などはしっかり洗う
・温められる総菜は必ず温めてから食べる
O157は寒さに強い
O157は低温に強く、冷凍しても死滅しません。
寒さに強いため、一般的な食中毒は初夏~初秋にかけて罹りやすいのに対し、O157による食中毒は気温の低い冬でも発生します。
O157は熱に弱い
O157は熱に弱く、75℃以上で1分以上加熱すると死滅します。
ただ加熱すれば安心とは言えません。
今回の総菜も、1996年の集団食中毒の原因である学校給食も、料理自体は加熱されたものですが、調理後に菌が付着したと考えられています。
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下痢の症状があったら必ず病院に行く!
腹痛や下痢の症状が見られても、まずその原因がO157と考える人は少ないです。
「お腹を冷やしたんだろう」と考える方が多いです。
しかし、下痢は体の異常を知らせる大事なサイン。
重篤化を防ぐために、子どもが下痢の場合はできるだけ早く医療機関を受診した方が良いです(2日以上続いた場合は必ず受診)。
大袈裟だと思うでしょうが、 「お腹を冷やしただけだった」と後で笑えれば幸せなことです。
下痢の原因が感染症だったときの感染予防
原因が感染症の場合は、トイレや風呂場を共有している家族に二次感染しやすいです。
原因が分かる前でも、トイレを利用した後など必ずアルコールで消毒します。
O157などの細菌性胃腸炎と判断された場合は次のことを徹底します。
・菌が付いた手で触れた場所はアルコールなどで消毒
・食事前は十分に手を洗い、アルコール消毒もする
・感染者の便を処理するときは使い捨ての手袋をつける
・感染者の便で汚れた衣類は、他の人と別に洗濯する
・乳幼児は感染者の後に入浴しないようにする
・バスタオルはひとりで1枚を使用して共用しない
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O157による感染性胃腸炎の症状は?
・激しい腹痛
・水っぽい下痢が何度もでる
・血便
・発熱(高熱になることは少ない)
基本的に上のような症状がでますが、全く症状が出ずに発症して治る人もいます。
発症するタイミング
O157は感染力が強く、心当たりがないのに発症することもあります。
成人の場合はO157に感染しても5~10日で治ります。
但し、O157は抵抗力の低い子どもや高齢者に感染すると、 腎機能や神経学的障害などの後遺症を残す可能性のある溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発するなど重症となる場合もあります 。
HUSの可能性があったら直ぐに病院
HUSを発症すると、次のような症状が見られます。
O157の感染歴がある場合は迷わず直ぐに医療機関を受診しましょう。
・顔色が悪くなる(蒼白)
・全身が怠い(倦怠感)
・尿の量が少ない
・浮腫む(浮腫)
顔色が悪くなったり倦怠感に襲われるのはHUSにより赤血球が壊れ貧血になるからです。
尿の量が少なくなったり全身がむくむ様になるのは腎臓の働きが低下しているからです。
溶血性尿毒症症候群(HUS)の危険性
HUSはO157の感染で最も注意したいことで、下痢が腹痛が起きてから数日~2週間後に発症します。
大阪で起きたO157集団食中毒では、罹患した約9,500人のうち3人の女児がHUSが原因で死亡、それから約20年後の2015年には食中毒発生時に小学1年生だった女性がHUSの後遺症による脳出血で死亡したそうです。
2018年7月現在、食中毒の被害者15人がHUSの後遺症等で経過観察が必要とされているそうです。
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症状が治まっても2週間はトイレの除菌を継続
症状がなくなったあともO-157は腸内に1~2週間残ります。
排泄物に菌が混じっているので、トイレや洗面台の除菌は症状が治まっても2週間以上継続しましょう。
[su_label]ー この記事はここで終わりです -[/su_label]
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