健康診断結果を会社は知っている?(要再検査の義務)

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― 再検査って絶対に受けないといけないの? ―

会社員の多くが持つ疑問です。労働安全衛生法により、会社は社員に対して医師による次のような健康診断を実施する義務がありますが、再検査が義務かどうかはあまり知られていません。

今回は定期健康診断(一次健康診断)の結果が「要再検査」または「要精密検査」の場合に再検査を受ける義務があるかどうかをまとめました。

雇入れ時の健康診断常時使用する労働者
年1回の定期健康診断常時使用する労働者
特定業務従事者の健康診断
(特定健診)
特定業務に常時従事する労働者
(6ヶ月以内ごとに1回実施)
海外派遣労働者の健康診断海外に6ヶ月以上派遣する労働者
(派遣前と派遣終了後に1回ずつ実施)
給食従業員の検便会社の食堂または炊事場の
給食業務に従事する労働者
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再検査を受けるかは個人で決められる

会社が実施した定期健康診断を受けて再検査や精密検査等が必要という結果が出ても、受診するかどうかの判断は社員個人に委ねられています

労働安全衛生法上は会社対して再検査等の実施義務と、社員に対して受診義務を定めていません。しかし、会社には社員が安全かつ健康に働くことができるように配慮する義務(安全配慮義務)があります。そのため、再検査等の受診を推奨したり、産業医や保険師等による保健指導をする会社が多いです。

一次健康診断の結果、血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、腹囲の検査またはBMI(肥満度)の計測の4項目全てにおいて「異常の所見がある」とされた場合は、二次健康診断等給付を利用して二次健康診断または特定保健指導を無料で受けることができます(詳細は厚生労働省公式資料を確認)。

健康診断の結果を会社は知っている?

詳細な検査の結果は知りませんが、ざっとは知っています

社員の健康診断の結果表を”本人の承諾なく勝手に見ること”は個人情報保護法の関係からできなくなっています 。しかし、健康診断結果の内容が適切に加工された必要最低限の健康情報は関係者(健康診断の実施の実務に従事している者、人事労務部門の担当者、職場の管理監督者など)に提供されています。

健康診断の後に会社がやっていること

  • 社員本人へ結果を文書で通知する(病院が作成した結果報告書を未開封のまま配布するのが一般的)
  • 健康診断個人票の作成および保存(保存期間は5年間)
  • 異常のあった社員について医師から意見聴取(3ヶ月以内)
  • 必要に応じた就業上の措置の実施(就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮など)

”常時使用する労働者”が50人以上いる場合は、定期健康診断結果報告書を作成し、産業医のチェックおよび押印後、報告書を労働基準監督署へ提出する義務があります。

”常時使用する労働者”とは、「1年以上雇用している」または「1年以上雇用する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上」の労働者を指します。この条件を満たすパートやアルバイトの人も対象となります。

定期健康診断の検査項目が違う理由

― 以前にいた会社よりも検査項目が少ない ―

転職先で受けた健康診断の項目が転職前の会社よりも少ないと「健康診断費用をケチっているのでは?」などと思ってしまいますが、定期健康診断の検査項目は検査を担当する医師の判断に基づき一部を省略することができます

【定期健康診断の検査項目】
(※)は医師の判断により省略可能

  • 既往歴及び業務歴の調査
  • 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  • 身長(※)、体重、腹囲(※)、視力及び聴力の検査
  • 血圧の測定
  • 胸部エックス線検査(※) 及び喀痰検査(※)
  • 心電図検査(※)
  • 貧血検査(血色素量及び赤血球数)(※)
  • 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)(※)
  • 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド)(※)
  • 血糖検査(※)
  • 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)

定期健康診断で分かること

聴力検査ではオージーメーターを使い1,000Hz(低音・会話音域)から4,000Hz(高音域)を検査します。高音域の低下は騒音や年齢(加齢)などにより影響します。

胸部レントゲン撮影では肺と心臓の異常をチェックします。肺炎・肺結核・肺がん・胸膜炎・心肥大などが分かります。心電図検査も心臓の異常の検査で、心臓の筋肉の異常・不整脈・心臓肥大・動脈硬化などが分かります。

血液検査で分かること

血液検査では血液(貧血)、脂質、肝機能、糖代謝の異常をチェックします。

血液は酸素を体中に送る役割があり、赤血球数や血色素は貧血検査の手がかりになります。貧血の症状は人によって異なりますが、程度が強くても自覚症状が少ない傾向があります。白血球数は炎症や血液疾患を患っている、または完治直後の場合は高い数値になる傾向があります。

血液中の脂肪分が多い状態を高脂血症といい、高脂血症になると血管に弾力がなくなり血液が流れにくくなります(この状態が「動脈硬化症」)。運動不足・肥満・喫煙などによりHLDコレステロール(善玉コレステロール)の数値が低い、または、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の数値が高い場合も動脈硬化症・脳梗塞・心筋梗塞になりやすいです。

肝臓はタンパク質と脂質の合成、血糖値の維持、薬物の代謝と解毒、血液凝固因子の生成、ビタミンの貯蔵など体にとって色々大切な役割をもっています。AST・ALTは幹細胞が壊れると上昇します(ALTは脂肪肝や薬の副作用でも上昇)。γ-GTPはアルコールを摂取すると上昇するので、数値が高い人は節酒または禁酒に努めると良いです。ALPは肝臓に限らず、心臓・腎臓・すい臓・骨疾患などでも上昇します。

血液中のブドウ糖は人の体を動かす燃料ですが、血糖値が高いと糖尿病になる恐れがあります。喉が渇く、尿が近い、疲れやすいといった症状は糖尿病のときに見られます。糖尿病を長い間放っておくと動脈硬化症、眼底出血、腎障害などの合併症を引き起こす可能性があります。

メタボリックシンドロームは総合的評価

【メタボリックシンドロームの診断基準】

  1. 腹囲(へそ周り)が男性で85cm以上、女性が90cm以上
  2. 中性脂肪が150mg/dl以上(またはHLDコレステロールが40mg/dl未満)
  3. 収縮期血圧が130mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上
  4. 空腹時の血糖値が110mm/dl以上、食後10時間以内のHbAC1が6.0%以上

上記の基準で、②~④のうち2つと以上と①に該当する人は「メタボリックシンドローム」と言われます。内臓に脂肪が蓄積する原因(引き金)は、運動不足、不規則な生活、高カロリー食の長時間摂取、ストレス、喫煙などだと考えられています。

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