スプレー缶のガスに引火する事故増加の理由

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 札幌市内でガス爆発があり、不動産業者「アパマン」とその隣にあった居酒屋が吹っ飛んで42人がケガ。爆風の影響は数十メートル先にまでおよぶ事故がありました。

 最近のガスメーターにはガスが漏れたときにガスの供給をストップする「ストップ機能」があるので、『ガス爆発』なんて最近めっきり聞かなくなっていたので驚きました。原因は都市ガスやプロパンガスではなく、120本の消臭スプレー缶。

 当時、不動産会社の従業員が「消臭用スプレーのガス抜きをしていた」「給湯器のスイッチを入れたら爆発した」という証言があり、スプレー缶のガスに給湯器のスイッチにより引火して爆発したとして現場検証が進んでいるようです。

昔は消臭スプレー缶の爆発事故はなかった?

 最近になってスプレー缶の穴あけ作業中の事故が目立つようになったのは、中身に可燃性のジメチルエーテル(DME)が使われるようになったからです。昔のスプレー缶は不燃性のフロンガスが使用されていたので、スプレー缶から出たガスに火が付くという事故は少なかったそうです。

 ※取り扱い説明書に従って普通に使用する分には可燃性があってもDMEは一定以上の安全が確保されている。

 中身のガスが変わったのは、毒性と環境負荷の問題だそうです。DMEは毒性が低く、環境負荷が低いことが確認されています。

 DMEは普通の圧力では気体(無色)ですが、圧力をかけると直ぐに液化します。スプレー缶の中は高圧なのでDMEは液化していて、消臭成分なども溶け込めます。

 スプレーして噴出したDMEは瞬時に気体に変わり、溶け込んでいた消臭成分なども一緒にパッと散ります。今のスプレー缶にDMEが採用されたのはこの性質がかわれたためです。

可燃性ガス、濃度約2%で爆発

 可燃性ガスが爆発するには火元(着火源)とガスの濃度が重要です。可燃性ガスが爆発する目安となる濃度は1.6~3.7%です。風通しの良い場所でスプレーするのは、この濃度を低くすることで安全な作業環境を整えているのです。

 200mlのスプレー缶の場合、4畳ほどの密封した室内で約15本分の中身を全て噴射したときの濃度となるようです。

廃棄したいスプレー缶の取扱注意点

 消臭剤などの多くには可燃性ガスを使用していて、可燃性ガスが密閉した空間に充満すると火はもちろん、静電気でも引火することがあります。

 日本エアゾール協会は「使用済みのスプレー缶を処理する場合は、缶の中身を空にしてから捨てることが大切」と述べています。中身を空にする作業は屋外または風通しの良い場所で行い、新聞紙などを用意して、それに向かってスプレーして中身を空にします。

 「風通しのよい作業場所」として、換気扇を回しているだけでは不十分です。可燃性ガスは下に溜まる性質があるため、部屋の上部で換気扇を回しても室外に出ていきにくく室内に充満してしまいます。

さらに、「使用済みのスプレー缶を処理するときは穴をあける」という自治体は減り、最近は穴をあけずに使用済みスプレー缶を回収する自治体が多いです。スプレー缶に穴をあけるときに金属がこすれて引火する恐れがあるためです。

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