現場に石膏ボードが大量に届いて山となっています。
これらは全て内壁や天井に貼り付けられるそうです。
石膏ボードを見ればお馴染みの虎の絵。
小さい頃からCMでみていたタイガーボードで、「ああ、あの」と妙な感動をしてしまいました。
うちに使用される石膏ボードは標準的な規格、GB-R(発熱性1級)ですが、石膏ボードには吸湿性に優れた者や、吸音性に優れたものもあるそうです。
今回は建材に使われる石膏について。
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石膏が燃えない理由
石膏とは「焼石膏に水を混ぜて固めたもの」で、石膏の中には水(結晶水)が含まれています。
石膏は「水を含む」、水和物の1つです。
「水を含む」というと、絞れば水が出てくるイメージをもちますが、科学的には原子や分子がいろいろ結合してできた所謂「檻」の中に水が囚われた状態も「水を含む」といいます。
絞っても出てきませんが、結晶水は石膏の約21%の質量に相当します。
建材としての石膏は改良され、うちに使われる石膏ボードに含まれる結晶水は1枚あたり約3キロとのこと。
水和物の場合、火や熱で熱くなるとまず結晶水を蒸発させ、そのあとから燃え始めます。
この性質が石膏の耐火性のポイントとなっています。
焼石膏、石膏は焼けるの?
石膏を化学的な呼び方をすると「硫酸カルシウム・2水和物」です。
石膏を120~150℃で石膏を加熱すると、水和物であるため中の結晶水が減少して「焼石膏」となります。
水が減った焼石膏の呼び名は「硫酸カルシウム・半水和物」です。
結晶水が完全になくなるわけではないので、石膏が燃焼することはありません。
焼石膏に水を加えると、また石膏になります。
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石膏、古代エジプトでも建材だった
石膏は紀元前7000年の古代エジプトでも建材として利用されていたそうです。
1902年にアメリカのオーガスティン・サケット氏の発明により石膏ボードの原型ができましたが、それ以前にも石膏の耐火性については注目されて17世紀のアメリカでは既に内装に石膏プラスターを厚く塗っていたそうです。
石膏ボードの作り方
石膏ボードとは、2枚の紙(「原紙」)の間に焼石膏と水を混ぜたものを流し込んで固めたものです。
石膏を固めて板状にしたあとに糊や接着剤で原紙を貼りつけたわけではないので、接着剤から放出される有害物質の心配もなく、湿気などでぺろりと剥がれてしまう心配もありません。
紙と石膏がくっつくのは、焼石膏と水が混ざって反応して針状結晶ができていく過程で、結晶が紙の繊維に食い込んで一体化するからです。
固まるのに数日かかるセメントとは違い、石膏が固まるまでの時間は数分~数十分なので石膏ボードは工場で効率よく生産されます。
防火対策=石膏ボード使用
マイホームができる地域は「法22条区域」にあり、一定の防火対策が必要と法律で決まっています。
なにか特別な措置は要らないのですが、ログハウススタイルの木造住宅を建てることは難しいと言えます。
そんな地域に建てる家の場合、石膏ボードは防火対策として必須の建材といえます。
工場で効率よく生産ができるため石膏ボードは希少性も価格もそれほど高くなく、現代の住宅では壁から天井までみっちり石膏ボードに覆われていることが多いです。
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石膏とセメント
石膏と同じく、固めて使う建材にはセメント(コンクリート)もあります。
セメントも、石膏と同じく水を加えられると針状結晶を形成します。
石膏とセメントで大きく違うのがリサイクルの有無です。
石膏は加熱すれば焼石膏になり、再び水を加えれば焼石膏は溶け、再び固まって石膏になるリサイクルができる建材です。
一方でセメントは加熱してもセメントのままで、それに水を加えても溶けることはなく、リサイクルできません(セメントを粉砕すればコンクリートを作るときの砂利にはなる)。
また石膏は製造過程においても有害なものを出さず、リサイクルできる点と併せて「エコでクリーンな建材」と評価されています。
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