イチゴの季節になり、イチゴの生産が盛んな埼玉県北部の彼方此方で『いちご』の昇り旗を見かけるようになりました。
我が家はここ数年『JA農産物直売所』で購入しています。
農産物直売所では周辺の養鶏場の卵も販売しており、普段はスーパーの卵ですが農産物直売所の卵は”採れたて感”があるので、農産物直売所に行くと卵を購入することが多いです。
そして殻がピンク色の卵を見つけました。
しかも横に並ぶ同養鶏所の赤い殻の卵(赤玉)よりも1個あたり2円安い。
商品を並べていた生産者さんに聞くと飼育環境で赤さが違うだけ(殻の色は濃い茶色からピンク色まで千差万別)とのこと。
しかし、赤玉においては「色が濃い方が品質が良い」というイメージがあるよう。
そのため生産者さんはピンク色の卵は売れにくいため少し安い価格設定をしていると教えてくれました。
殻の色が違うだけで同じ養鶏所だから餌も同じだから卵としての中身は一緒。
安いピンク色の卵を購入しました。
そもそも卵の殻の違いは何なのでしょうか?
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卵の殻に白と茶色があるのは鶏の種類が原因
日本で卵の生産用に飼われている鶏には、白い殻の卵を産む鶏と茶色系の殻の卵を産む鶏がいます。
白い殻の卵を産む…「白色レグホン」や「ジュリア」など
茶色系の殻の卵を産む…「名古屋コーチン」や「ボリスブラウン」など
つまり、卵の殻の色の違いはDNAによるもの。
ちなみに、日本で「卵の殻の色は?」というとほとんどの人が「白」と答えます。
それは日本の養鶏が原因です。
日本では品質管理などの問題からゲージ飼いが多いため、小柄でコスパの良い(=少量のエサでたくさん卵を産む)白色レグホンなどの白色の殻の卵を産む鶏が好まれています。
一方で、茶色系の卵を産む鶏の多くは『ボリスブラウン』などの海外種で、これは大柄でたくさんの餌が必要です。
さらに白色レグホンなどに比べてボリスブラウンは産卵率も低いです。
以上のことから茶色系の殻の卵を産む鶏の飼育羽数は少なかったのです。
しかし、茶色系の殻の卵を産む鶏たちにも良いところが。
・気性が穏やか
・環境の変化への対応力が高い
・病気やストレスに対する抵抗力も強い
このような理由から近年は茶色系の殻の卵を産む鶏を飼うところが増えています(平飼いや放し飼いができるメリットもある)。
自宅で鶏を飼う場合は自治体に届け出が必要
昔は鶏を飼っている家がちょこちょこありましたが、今でも一般家庭が庭などで鶏を飼うことはできます(鳴き声などの騒音問題はさておき)。
ただし、今は各市町村に『調査票』の提出が必要です。
調査票は「家畜伝染病予防法」基づく書類で、毎年2月1日に提出します。
調査票の目的は鳥インフルエンザの流行(感染拡大等)を防ぐためで、調査票を出さずに鶏を飼っている人も少なくありませんが万が一に備えて届出は重要です。
鳥インフルエンザの流行は養鶏場にとって大きなダメージになるだけでなく、卵の価格高騰など社会に大きな影響を与えてしまいます。
卵の価格高騰の原因は?卵は品薄になるのか?鶏肉への影響は? | 『 』 (xn--k9jc5i.com)
鳥インフルエンザの脅威は学校教育にも影響を与えています。
2010年頃までは約8割の小学校で「『生き物』と身近で触れ合うこと」を目的に鶏を飼育していましたが今では約4割に半減しています。
減少理由は前述した鳥インフルエンザが最も多いですが、他にも児童のアレルギー問題、長期休暇中の教師の身体的負担などが挙げられています。
小学校の飼育小屋から「ニワトリ」「ウサギ」が消えつつある…きっかけは鳥インフルエンザだった!? (fnn.jp)
卵の殻の色は『プロトポロフィリン』で決まる
鶏の卵の殻の色は卵管を通るときに『プロトポロフィリン』という褐色の色素を分泌するかどうかできまります。
分泌しなければ白色の殻になります。
そのため白色の卵を産む種類の鶏が茶色系の卵を産むことはありませんが、茶色系の卵を産む鶏が白っぽいピンク色の卵を産むことはあります。
飼育環境によって『プロトポロフィリン』の分泌量が変わるからです。
明るい場所にいる時間が長い鶏は白っぽい茶色の卵を産み、暗い場所にいる時間が長い鶏は濃い茶色や褐色の卵を産みます。
これは鶏が卵を外敵から守るためで、周辺の色に卵の色を近ければ分かりにくいからです。
『プロトポロフィリン』は色素なので栄養には影響がほぼありません。
つまり卵の殻の色によって性質が変わるわけはないのですが「白い卵よりも濃い赤色(茶色・褐色)の卵の方が栄養が高い」という風評があります。
その理由を事項で説明します。
赤玉と白玉の価格差の原因は生産コスト
基本的にスーパーなどでは白色の卵(白玉)に比べて茶色系の卵(赤玉)の方が販売価格が高いです。
『高い=質が良い(栄養価が高いなど)』というイメージがあるので「白玉よりも赤玉のほうが栄養価が高い」と言われたりしますが、同じ養鶏場で同じ餌が与えられている場合の赤玉と白玉の質に栄養価の差はほとんどありません。
赤玉の方が高いのは、白玉に比べて生産コストが高いからです。
前述したように白玉を産む鶏は小柄で小食、一方で、赤玉を産む鶏は大柄で大喰らい。さらに白玉の方はゲージでの大量に飼育が可能、一方で赤玉の方は平飼いや放し飼いを好むようです。
エサ代に飼育スペース、赤玉の方が生産コストがかかってしまっているので必然的に販売価格が高くなってしまいます。
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