5歳の娘に聞くと「仮装する日」というハロウィン。娘の友だちは「色々な家の玄関を叩いてお菓子をもらう日」とも。日本人にとってハロウィンは宗教的な意味合いのないイベント。お菓子や仮装でハロウィン市場はバレンタイン市場よりも大きいです。
先日1歳の娘がお下がりをもらったお礼を買いにケーキ屋に。そして「この時期に洋菓子屋に行くもんじゃない」と、娘たち用のハロウィンパッケージのお菓子の詰め合わせを両手に持って痛感しました。
ポップで可愛い黒猫やカボチャを見ると、これが元々は宗教色の強い意外と怖いイベントなんて信じられません。今回はハロウィンのオリジナルと、今のイベントとのつながりなどをまとめました。
ちなみに、ハロウィンを純粋に祝う形が残っているのはケルト民族の風習が色濃く残るアイルランドです(ケルト系の国民も多い)。この時期はいわゆる「ハロウィン休み」で全ての学校が休みになるほどです。
ハロウィンについて調べたら「ブリテン諸島の国々は仲が悪い」と改めて実感しました。これはラグビーW杯でも感じたこと。外国人の私からすると「イギリス」という1つの国な感じがしますが、「イングランド」「ウェールズ」「スコットランド」と全て別の国扱い。他人事ですが、予選を勝ち抜いてヨーロッパの代表枠を取るのは大変そうです。
スポンサードリンクハロウィンは日本でいう大晦日とお盆
ケルト人は1年を夏と冬に分けており、ケルト歴では1年の始まりが「冬の始まり」にあたる11月1日です。ケルト人は10月31日~11月1日の2日間にわたり『サウィン』をひらきます(古代アイルランドでは『サヴァン』と言われる)。また、この期間は異界と通じるため死者の魂が現世に帰ってくる日と考えられています。
サウィンでは夏の収穫で余った作物や屠殺された家畜が供され、仲間で集まって共にそれらを飲食します。
「サウィン」というと日本ではRPGのラスボスに時々いる名前。私が以前やったゲームでも、サウィンを捩ったような「サルウィーン」というのがいました。これはカトリック教会が土着宗教を悪魔となぞらえようとした試みの名残で、このカトリック教会の企てにより一時期サウィンは悪魔やサタンに相当する”死者の王”のための祭りと誤解された時期があります。
ハロウィンではお菓子を配って地域交流
英語圏では子どもたちが「Trick or Treat(いたずらか、ごちそうか)」 という言葉を唱えながら家々を訪ね歩いてお菓子を集める習慣があります。これはケルト民族「Souling」という、11月2日の”死者の日”に行われる風習が由来というのが有力な説です。
Soulingは仮面をかぶった子どもたちがソウルケーキをもらいに家々を回り、ソウルケーキで亡くなった人を供養するという風習です。
「地域の家々を訪ね回る習慣」というと私の場合は”どんと焼き”(正月飾りを集めて回る行事。呼称は地域によって様々)がくらいしか当てはまりませんが、宗教や古代の思想が根強く残る地域(特にヨーロッパ圏)では未だにそんな風習がいくつかあります。クリスマスシーズンのWassailingもこんな風習の1つです(クリスマスキャロルを歌いながら近所の家々を回りお互いの健康を願うという行事)。
ハロウィンの仮装は精霊から身を守る為
異界とつながる時期は死者だけでなく悪意のある精霊や魔女なども一緒に現世にやってくると考えられており、生きている人間は彼らに悪さされないように仮装したりかがり火を焚いて魔除けをする伝統があります。
「精霊や魔女などに紛れ込む」という意味で、ハロウィンの仮装では一般的に”怖い”と思われるもの(幽霊・魔女・悪魔・ゾンビ・黒猫・ゴブリン・バンシー)を選ぶ傾向がありました。しかし20世紀後半になると宗教儀式の意味は大分薄れて仮装などを楽しむイベント化。お姫様や海賊、映画・漫画・ゲームのキャラクターに扮する人が増えました。
ハロウィンのカボチャは精霊を驚かす為
ハロウィンのシンボルの1つである『カボチャのランタン』の顔は、悪い霊を怖がらせて追い払うために怖い顔や滑稽な顔をしています。
このカボチャのランタンの名前は「ジャック・オー・ランタン( Jack-o’-Lantern)」。ランタン(Lantern)は日本で言う提灯。ケルト系文化に伝わる鬼火の1つで、「ランタン持ちの男」が由来となっています。
※「ランタン持ちの男」とは死後の世界への立ち入りを拒否された男で、同情した悪魔からもらった地獄の劫火をランタンに入れて彷徨っている。悪魔と契約して天国にも地獄にも行けず彷徨っている男という伝承もある。
いまでこそランタンはカボチャ製ですが、オリジナルはカブ製です。カブ→カボチャに変わった原因は、カボチャの生産が盛んだったアメリカに移民したアイルランド人の影響です。オリジナル性が残るスコットランドではカボチャじゃなくてカブのランタンが主流です。
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