黄砂は大陸のどこから飛んで来るのか?日本にくる黄砂の量を減らす方法は?

春になると大陸から黄砂が日本にやってきます。

気象庁のホームページでは飛来する黄砂の量を予測する下図のような『黄砂観測実況図』が公開されており、3月29日ー30日は関東エリアなど日本の一部を除く全域で黄砂が見られることが分かります。

黄砂は大陸から飛来しますが、大陸のどこなのかを知っていますか?

今回は黄砂はどこから飛んで来るのか、黄砂の被害をなくすにはどうすれば良いのかをまとまめした。

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黄砂はどこから飛んでくる?

黄砂は中国を流れる黄河の上流および中流域に広がる黄土高原から飛んできます。

他にもモンゴル南部のゴビ砂漠や、新疆ウイグル自治区にあるタクラマカン砂漠からも黄砂は飛んできますが、日本に飛んでくる黄砂のほとんどは黄土高原の砂や塵です。

「黄色い土」と書く様に、この地域の土は中央アジアの岩が風化した砂が堆積してできた灰黄色の土です。

日本の飛んでくる黄砂の粒子の大きさ

日本に飛んでくる黄砂の粒子の大きさは0.5μm~5μmで、タバコの煙の粒子よりも少し大きい程度の非常に小さい粒のそれは地質学では砂ではなく「泥」に分類されるそうです。

大きな粒は粘土粒子同士がくっついたものや(凝集したもの)、鉱物の粒子に粘土粒子が付着したものなどが多いようです。

黄砂が飛んでいるときの空の色の違い

報道されている映像を見ると、黄砂飛来時の日本の空は白っぽいのに対し、中国の空は黄色っぽいです。

この色の違い粒子の大きさと濃度によるものです。

黄土高原から遠い日本の空を覆う黄砂は粒子が小さく濃度も低めなので、光の散乱(ミー散乱)により白っぽく霞ます。

黄土高原から近い中国の空を覆う黄砂は大きく濃度も高めなので、太陽光が黄砂粒子を通すことで空の色は黄砂そのものの色である黄色~赤褐色に霞ます。

黄河文明を生み出した黄土高原

黄土高原の黄土は炭酸カルシウム、リン、カリウム、ホウ素、マンガンを豊富に含んだ養分豊富な土で、この土が毎年黄河に流れて堆積した下流では農耕文化が育ち黄河文明が生まれました。

現代の黄土高原は緑がまばらで乾いた土がむき出しのイメージがありますが、黄河文明が生まれた頃の黄土高原は森林に覆われていたようです(50%以上あった森林率は5%に減少)。

黄土高原の森林がなくなってしまったのには気候が原因でもありますが、絶え間なく続いてきた戦争による樹木の伐採や、人口の増加による不合理な土地利用があります(計画性なく農耕や牧畜に土地を利用)。

戦争が起きると都市、要塞、長城の建設に木材を使い、煉瓦鍛造や金属の鍛錬の燃料として木材を利用してきたのです。

森林がなくなったことで高原は乾燥化・砂漠化が進み、黄砂現象を発生してしまっています。

黄砂を防ぐには黄土高原の緑化が重要

日本に黄砂が飛んでくるのを防ぐには、

  ① 日本に吹く風の向きを変える
  ② 黄土高原を緑化して砂や塵が舞い上がらないようにする

となりますが、①は自然のものなので不可能、つまり②しか方法はありません。

しかし黄土はアルカリ性の硬い土で、一度黄土がむき出しになった場所は植物が育ちにくいです(その上に腐葉土が作られても雨で流れてしまう)。

土がむき出しになると土は雨で川に流れたり、風に飛ばされたりしてその地域からなくなってしまいます(土壌流出)。

土壌流失は肥沃な土を失う他に、保水能力が失われることによる災害の発生や農耕の衰退、そして経済の衰退につながります。

川に流れた土がダムや運河に流れ込むと、水の流れを妨げてしまい、治水上の問題も発生してしまいます。

中国の黄土高原緑化の計画

中国は1994年にたくさんの国から融資を受けて黄土高原の再生計画『水土保持プロジェクト』を開始しまし、一部地域では樹木や草の緑が戻り、農業が復活するなど一定の効果を得ているようです。

日本も政府開発援助(ODA)や民間団体の活動により緑化事業に貢献しました。

『水土保持プロジェクト』では次のような事業が行われました。

  ・植林事業
  ・農民を教育して持続可能な放牧や農耕を行わせる事業

2003年からは傾斜地など悪条件の農地を森林に戻す「退耕還林政策」も実施されました(農家には苗木代、生活費、食料の補助を実施して果樹栽培などへの転換を促す)。

黄土高原の緑化にいろいろな国が協力する理由

政治的・経済的理由はもちろんのこと黄砂現象は国境を越えた環境問題であるからです。

まだ日本では空が白っぽくなって視界が悪くなる程度の被害ですが、今後黄土高原の砂漠化が進み飛来する黄砂の量が多くなれば被害は深刻化します。

  ・黄砂が堆積することで建物の窓や洗濯物が汚れる
  ・視界不良により航空機の飛行、車の通行、鉄道の運行、人の歩行に障害を及ぼす
  ・農作物の生育不良が起きる
  ・気象観測を妨害する
  ・地上波放送などの電波を乱し、受信障害は異常伝播を引き起こす
  ・黄砂の微粒子の混入により精密機器や半導体が不良になって出荷できない

黄砂の被害が多い中国、韓国、台湾では呼吸器疾患や呼吸器感染症、心臓や脳の循環器疾患の増加が報告されています(黄砂発生との相関が複数の論文で報告)。

黄砂と共に化学物質も飛来することから、喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患のほか、結膜炎などの目の症状も増加も報告されているようです。

黄砂が飛ぶ日本の春に発生する『花粉爆発』

埼玉大学理工学研究科・王教授が発見したのが花粉の破裂現象。

花粉には黄砂などがきっかけになって破裂するような現象が起こることがあるそうで、破裂することで花粉が微細化することでアレルゲン物質が気管支や肺に入り込んでしまい喘息などの原因になってしまう可能性があるとか。

本来花粉の細胞壁は硬く空中を飛んでいて破裂することはありませんが、黄砂がぶつかると細胞壁に亀裂がはいってしまい、その亀裂から水分が入ると内側から膨張し破裂してしまうそうです。

参考:黄砂などで「花粉爆発」 喘息など重症化も – ウェザーニュース (weathernews.jp)

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