娘の同級生が1週間入院するときき、その子のママに理由を訊ねたら【川崎病】で、本人はいたって元気だが【後遺症が心配だから入院】とのこと。
…いま流行している新型肺炎かと思いました。
川崎病は知る人ぞ知る、【血管が炎症を起こす未だ原因不明の病気】。後遺症が残ることもあるため入院治療が必要で、街の小児科病院では対応しきれず大きな病院に転院するケースが多いようです。
川崎病は1967年に小児科の川崎富作先生が最初に報告した原因不明の病気です。4歳以下の乳幼児に多く、全身の血管に炎症がおきていろいろな症状が出ます。高熱、両側の眼球結膜(目の白いところ)の充血、真っ赤な唇と苺のようにブツブツの舌、体の発赤疹、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れの6つの症状のうち5つ以上の症状があれば川崎病と診断します。小さなお子さんではBCGを注射した場所が紅く腫れ上がることも、特徴的な症状の1つです。
川崎病|国立研究開発法人 国立成育医療研究センター公式サイト
原因不明の川崎病はどうやって診断するのか?
- 高熱
- 眼球結膜充血
- 口唇の紅潮といちご舌
- 発疹
- 手の紅斑と腫脹
- 頚部リンパ節腫脹
上の6つのうち5つが該当したら『川崎病』と診断されます。通常はこの症状が一気に現れるのではなく、【39.5℃を超える高熱から始まり3週間くらい高熱・平熱を繰り返します】。発症してから2日以内に目が赤くなり(目ヤニはない)、5~1週間で唇の紅潮や発疹、手やリンパ節が腫れたりしてきます。
小さい子どもの場合はBCGの痕が赤く腫れることがあります。
川崎病の原因は未だ特定されていませんが、日本人など東アジア系人種の感染率が他に比べて高めです。【生後1カ月から8歳までの乳幼児の発生確率が高く】、女児より男児に約2倍多くみられます。
似た症状の病気の否定には血液検査が必要になる
【川崎病は決め手がなく基本は症状からの診断】です。
麻疹・猩紅熱・若年性特発性関節炎など似た症状を引き起こす病気は他にありますが、それを否定するためには【血液検査】を行います。
以上の結果で川崎病と診断したら心電図検査と心臓超音波検査(心エコー検査)を行い、冠動脈瘤、心臓弁での逆流、心臓を取り囲む袋の炎症(心膜炎)、または心臓の筋肉の炎症(心筋炎)がないかを確認します。
川崎病で一番問題なのは冠動脈に瘤(こぶ)ができること
川崎病にかかった子どものうち【約3%】が【冠動脈に瘤(こぶ)】が出来てしまいます。冠動脈は心臓につながった血管で、ここに瘤ができると血管が狭くなり、血の塊が詰まるなどして狭心症や心筋梗塞を起こす危険性が高まります。
8mm以上の大きさの動脈瘤ができてしまうと (確率的には0.8%程度)、心筋梗塞を予防するために一生血が固まりにくい薬を飲み続けなければいけなくなってしまいます。
動脈瘤ができずに完治すれば普通に生活できる
【病気が始まって8週間以内に冠動脈に異常がみられなければ完治】とされます。完治後は今まで通りに生活して問題なく、運動制限等もありません。
動脈瘤疾患のリスクを低くするには【症状が現れてから10日以内に治療を行うこと】です。治療が早ければ発熱、発疹、不快感の消失も早くなるので子どもの体の負担も少なくなります。
治療は約8週間です(自宅での治療も含め)。最初の4日間は免疫グロブリンを静脈内投与(点滴)、アスピリンを経口投与します。熱が出ない状態が4,5日続けばすぐにアスピリンは減量しますが、発症から少なくとも8週間経過するまでアスピリンを飲み続けます。
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