洪水と氾濫(はん濫)の違い?(緊急放流する理由)

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10月になってから雨の日が多いです。先日の台風19号の影響が色濃く残るため、しばらく雨が続くと山間部の住人を対象に避難準備や高齢者等避難開始が自治体から発令されるほどです。

台風19号ではたくさんの河川が氾濫して甚大な被害をもたらしました。

テレビ画面上部に次々と流れる警報の数に吃驚させられましたが、ここで気になったのが「洪水」「氾濫」などの川の状態に関する言葉の違いです。今回はこの辺りについて調べました。

雨についてはハザードマップで確認した限り我が家周辺に懸念事項はありません。そのため雨の日で私を憂鬱にするのは長女の幼稚園への送り迎えです。

雨の中5歳児を連れ歩くだけでも厄介なのに、私の場合は1歳児がオプションとして付いています。他の保護者も同じ苦労、電車やバスを使って移動する人は私よりも苦労していると思っても大変さは薄れません。

しかしこれが母性の本能なのか、てるてるぼうずよろしく、カッパ来て雨の中で楽しそうに遊ぶ子供たちに憂鬱な気分も多少薄れます(無くならないのがアラフォーママの辛いとこ)。

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『洪水』とは河川の水が著しく増加した状態

国土交通省が公開している川の防災情報(埼玉県)-2019年10月25日14:39の情報

大雨や雪解けが原因で河川の水量が普段に比べて著しく増加した状態を『洪水』といいます。河川の危険度は5段階の水位で表現されますが、上の図で分かる通り基準水位未設定の水位観測所が未だ多いです。

  • 【警戒レベル1】水防団待機水位
  • 【警戒レベル2】はん濫注意水位
  • 【警戒レベル3】避難判断水位
  • 【警戒レベル4】はん濫危険水位
  • 【警戒レベル5】はん濫発生

ちなみに水防団とは「水防に関する防災組織」で、水防団員は普段は別に本業を持つ地域住民により構成されています。自分が居住する地域に水害や水の事故が発生または発生する恐れがあるときは水防救急任務にあたります。多くの団員が消防団員を兼任しています。

水防団員は台風などの災害による河川の増水や決壊に対し土嚢を積んで予防したり、浸水した地域の被災者を救出することが主な任務です。

『氾濫(はん濫)』は川からあふれた水が拡がった状態

河川からあふれた水が拡がることを『氾濫(はん濫)』といいますが、厳密には河川の水があふれて広がった場合は『外水氾濫』といいます。氾濫にはもう1つ、河川が増水してそこに流れ込むはずの川や下水路の排水が上手く流れ込めずに溜まるなど雨を排水処理できなくて起きる『内水氾濫』があります。

水があふれても広がっていない場合は『越水(えっすい)』または『溢水(いっすい)』といいます。この2つの違いは河川に堤防があるか・ないかで、溢水は堤防のないところで起きた場合、越水は堤防であるときに起きた場合です。

川のはん濫しそうな状況でダムが緊急放流をする理由

国土交通省が公開している川の防災情報(埼玉県)-2019年10月25日14:39の情報

先日の台風19号のときは多くの河川が氾濫しそうなときに、その上流のダムが緊急放流をするという情報が流れました。増水している川に追い打ちをかけるかのように見えますが、決して「河川の氾濫も仕方がない」と諦めて実施するものではありません。

ダムが緊急放流するのはダムが壊れるのを防ぐためです。

万が一でもダムが決壊すれば、それまで貯まっていた水も含めて大量の水が下流に向かって流れ込みます。それによる被害は想像もつかず、一気に水が流れることで地形を変えてしまう可能性さえあります。

緊急放流開始までに下流では川の増水に備えておく

ダムの緊急放流は本当に緊急事態であることを表しています。2019年10月時点の規定では「緊急放流は開始3時間前に通達すること」が決められています。

緊急放流までダムは流れ込んでくる水をプールし、下流に向かって流れ込む量の何割かを下流に流して貯水量を調整しています。こんな風に貯水量を調整する余裕がなくなるのが緊急放流で、緊急放流になると流れ込んでくる水を100%下流に向かって流し始めます。

ダムによっては洪水期にはダムの雨水の受け入れ量を増やすために常時満水位よりも水位を低下させておく方式を採用しているダムがあります。上の図で「洪水貯留操作実施中」となっているダムです。

上の図にあるもう1つの「異常洪水時防災操作」とは水を放流するゲートを操作して放流量を流入量まで増加させる操作です。つまり緊急放流中のダムということになります。

台風19号でダムについての問題が浮き彫りになりました。今回発せられたダムの緊急放流情報を市民がどう受け止めればいいか分からなかったからです。何が行われるのか、それにより何の恐れがあるのか、正しい対処をするにも情報と知識が全体的に不足しています。

命に関わる治水と利水は太古の昔から人類の課題

水の問題は私たちの命に直結します。飲み水の確保や農作物の生育など人の生活に水は必須なので、利水を考えればダムに貯まっている水の量は多い方がいいです。一方で、今回のような大雨に備えるなど治水を考えればダムに貯まっている水の量は少ない方が良いです。

ダムの管理は利水と治水の絶妙なバランスを維持しなければいけません。災害が起きたあとに「事前に放流しておけば」と思ってしまいますが、予定より雨量が少ないと大変な事態になってしまいます。

現代はダムがあるので「利水>治水」という傾向がありますが、以前の日本には命がけで治水に取り組んだ人がたくさんいました。水と人間の戦いの歴史は長く、有名な戦国武将のひとり甲斐の武田信玄は治水上手として知られています。

信玄が用いた工法は、当時としては画期的なものだった。それまで扇状地を自由奔放に流れていた御勅使川の流れをまっすぐに固定し、その主流を竜王の赤石にぶつけた。さらに「将棋頭(しょうぎがしら)」と呼ばれる石組みを築いたもので水流を二分、その水が釜無川と合流するところに石組みを築き、水勢をそいで釜無川と順流させる方法をとった。最後には、赤石の下流に1,800m以上にわたる堅固な堤防を築いて樹木を植えさせました。

信玄堤(しんげんつづみ)| 甲府河川国道事務所公式サイト
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