B型肝炎ワクチンの予防接種が定期化されたため、2016年4月以降に生まれた子どもは無料で予防接種を受けることができるようになりました。
2016年10月の段階で2歳だった長女は対象外でしたが、B型肝炎ワクチンの予防接種はできます(自己負担額5,000円~10,000円※保険対象外)。この後生まれた次女はB型肝炎の予防接種をしました。
ほんの3歳差で受けた予防接種が違う。今後はロタウイルスワクチンやおたふくかぜワクチンの定期化が検討されているので、どの予防接種を受けたのかの記録がまとめられた母子手帳の管理はとても大切になります。
B型肝炎ワクチンは生後2ヶ月~9ヶ月までの期間に3回接種
これまで任意接種だったB型肝炎ワクチンが2016年4月以降生まれた乳児全員を対象に定期接種となり、予防接種費用の自己負担はなくなりました。
B型肝炎ワクチンの予防接種については1992年からWHOが推奨し、2009年には177ヶ国が定期接種に指定していました。接種回数は3回で、1回目の接種から27日を過ぎてから2回目を摂取、さらに1回目から20~24週を経過した後に3回目の接種を行います。
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1歳の誕生日の前日までに3回接種できなかった場合、誕生日以降の接種は有料
※母親がB型肝炎ウイルスのキャリア等で、出生時にB型肝炎ワクチンの接種を受けた場合は定期接種の対象外(健康保険による費用負担)
B型肝炎ウイルスは急性肝炎を起こす感染症
B型肝炎はB型肝炎ウイルスが血液・体液を介して感染しておきる肝臓の病気です(急性肝炎)。
直ぐに回復する場合もあれば、肝臓の炎症が6ヶ月以上続いて慢性肝炎に分類されることもあります。稀に劇症肝炎といって、激しい症状から死に至ることがあります。
炎症がさらに長期化すると肝硬変・肝がんになりやすくなります。
”沈黙の臓器”と言われる肝臓はその機能が健康な状態の3割以下になっても自覚症状が現れずらく、B型肝炎になっても気づきにくいと言われています。自覚のないままB型肝炎ウイルスが肝臓内部に潜み(持続感染) 、慢性肝炎・肝硬変・肝がんなどになることがあります。
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子どもが感染すると軽症・無症状でウイルスがそのまま潜んでしまいやすい
B型肝炎ウイルスの感染は潜伏期間が長いことがあり、10代から30代に発症というケースも少なくありません。B型肝炎ワクチンの接種をしたかどうかは将来重要な記録となるので母子手帳等はしっかり保管しておくようにします。
B型肝炎ウイルスはキャリアの母親から感染してしまう
母親がB型肝炎ウイルスのキャリア※の場合、胎児や新生児が子宮や産道を介してB型肝炎ウイルスに感染することがあります。
母子感染を防ぐため、妊娠8週目を目安にHBs抗原検査(血液検査)をしてB型肝炎ウイルスの有無をチェックします。妊婦健診の1つなので多くの自治体では助成対象となっています。HBs抗原検査の結果が陽性の場合は生まれた赤ちゃんに直ぐワクチン接種をするなどの予防措置が施されます。
※B型肝炎ウイルスには次のようなルートで感染(例)
- B型肝炎ウイルスキャリア(HBs抗原陽性)の母親から生まれた
- B型肝炎ウイルスキャリアの血液に直接触れた
- B型肝炎ウイルスキャリアとの性的接触
B型肝炎ワクチンは肝炎予防よりも持続感染を防ぐ
小児の場合、B型肝炎ワクチン接種は肝炎を予防するよりも、ウイルスの持続感染を防いで将来発生するかもしれない慢性肝炎・肝硬変・肝がんを防ぐのが主目的です。
ウイルスの持続感染している場合は免疫がある程度確立した10代以上、30代までの間に一過性の肝炎を起こすことが多いです。約8割は直ぐに回復しますが、一部は慢性肝炎等になってしまいます。
定期接種化する前もウイルスキャリアの母親から生まれた乳児に対して、母子感染予防事業として生まれた直ぐにワクチン接種などの予防措置を施してきました。これも将来に慢性肝炎や肝がんで苦しむ可能性を低くするためです。B型肝炎ワクチンの接種が定期化してもこの事業は今まで通り継続されます。
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