’16年9月14日、”ブラックバイト”で初めて裁判が行われました。
参考:「「ブラックバイト」初の裁判、学生「人生を大きく狂わされた」と訴える」(弁護士ドットコム)
訴えたのは『しゃぶしゃぶ温野菜』のフランチャイズ店舗でアルバイトしていた男子大学生(21)で、店舗運営会社DWE Japanを相手に慰謝料や未払い残業代など約800万円を求めているようです。
「ブラックバイト」や「ブラック企業」という言葉を最近よく聞くようになりました。『ハラスメント』と同じで『ブラック』というのは個人の裁量で判断されるものです。
AbemaNewsで「高校時代ブラックバイトをしていた」という女の子が意見を述べていましたが、「確かにそれはブラックだ」と同意できる点と「それは”甘え”だ」と同意しかねる点が入り混じっていました。”甘え”ととられてしまうこともあるため、訴える側も躊躇してしまうのでしょう。
今日は『ブラック』や『ハラスメント』について調べてみました。
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”ブラック”とは何か?
『しゃぶしゃぶ温野菜』のフランチャイズ店舗でアルバイトしていた男子大学生(21)で、店舗運営会社DWE Japanを相手に慰謝料や未払い残業代など約800万円を求めて裁判を起こしました。
【男子大学生の陳述】
・’14年5月にアルバイトとして採用
・’14年10月頃から長期労働を要求される
・’15年4月から122日間連続勤務
・’15年前期の単位を全て落とす
・退職を申し出たら暴言・暴力をふるわれる
(暴力については千葉県警に告訴状を提出済み)
男子学生の訴えに対して運営会社は謝罪し、未払い賃金など約150万円は”払うべきもの”として払い、慰謝料の金額については精査した上で対応するなど”早急な解決”を訴えているそうです。
一般的に『早急な解決』とは『和解』をさします。現時点において男子大学生は”和解”を拒否し、裁判で自分の労働実態などを明確に認定され、判決されることを望んでいます。
『ハラスメント』は教育やしつけとの線引きが難しく、社会経験が豊富な大人でも揉めるポイントです。21歳の学生が企業相手に裁判を起こしたことは勇気ある行動といえます。
『ブラック企業』とは一般的に”違法行為を当たり前と常態化している企業”を言います。主な違法行為として、労働基準法や関連法令を無視する、法の網や不備を悪用するということがあります。
ブラック企業は日本の雇用形態が変化する過程で登場しました。
【従来の日本の雇用形態】
単身赴任や長時間労働といった強大な命令が労働者に下される。その代わりに年功賃金・長期雇用・企業福祉が保障されている。
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マイナスをプラスで補ってバランスをとっている
【現在の日本の雇用形態】
単身赴任や長時間労働といった強大な命令が労働者に下される。それにも関わらず年功賃金・長期雇用・企業福祉が保障されていない。
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プラスが消えてもマイナスが残っている【ブラック】
こうして労働力として若者を大量に採用しておきながら、強大な命令で過重労働や違法労働を強いて使い潰し、雇用を保障せずに次々と離職に追い込む…ブラック企業の代表格です。
労働に関する知識で身を守る
”働く”ということは雇用契約を結んで労働する代わりに賃金を得ることです。
未成年は家庭や学校においてはその身の安全が保障されていることが一般的です。しかし労働契約は家庭や学校と違うところで第三者と結ぶため、未成年のアルバイトであっても安全が保障されません。
未成年であっても自分の身は自分で守らなくてはいけません。身を守るためには労働に関する知識を身につけることです。ブラック企業が若者を食い物にするのは彼らにその知識がないとしているからです。
”ブラック”で起きる主なトラブルは労働条件、給与および残業代、責任の所在(問題)、パワハラおよびセクハラです。
労働条件に関するトラブルとしては予定外の出勤を頼まれたり、連続勤務(休みが取れない)などがあげられます。相手が困っているとつい助けようと思ってしまいますが、無理なときはきちんと拒否しましょう。仕事を始める前に交わした契約条件と違う仕事を要求された場合、労働者にはそれを拒否する権利があります。
学生バイトの場合、部活・サークル活動との両立や試験期間中のシフトなどが問題になります。労働契約締結のときにこれらの懸念について取り決めをしておきましょう(面接=労働契約締結です)。取り決めは労働者だけでなく雇用者のリスク管理(労働力の確保)にも役立ちます。
給与・残業代に関するトラブルとしては残業代が支払われない、昇給の約束が守られないなどがあげられます。「みんなやっている」という考えにとらわれず残業したら残業代を請求しましょう。また試用期間・研修期間後の昇給については紙に書いてきちんと保障してもらいましょう。
責任問題のトラブルとしては損傷した物品の弁償、ノルマの達成等が問題になります。
損傷した物品の弁償については、故意でない限り賠償金を労働者個人が支払う必要はありません。「雇用者は労働者の労働で利益を得ているので、労働中で起こった損害も受け入れるべき」という考えに基づいています。賠償責任は会社にあります。
ノルマの達成について法的義務はありません。前述した通り、労働者は「労働内容に対して」ではなく「労働する時間に対して」賃金を得ています。ノルマの達成のために残業をした場合は残業代を請求しましょう。労働契約を結ぶことによって課される義務は「労働に従事すること」であり、「結果を出すこと」は義務ではありません。ノルマ未達による賃金の減額は労働基準法第16条で違法となっています。もちろん賠償責任もありません。
責任問題としてバイトでも責任を負うのが『販売責任』です。「未成年に煙草を売ってはいけない」「運転者にアルコール類を提供してはいけない」など販売者に課せられた責任はバイトでも守らなくてはいけません。
働いていて困ったことがあったら上司、上司の上司などに相談しましょう。しかしブラック企業は内部まで黒さが浸透していることもあるので、会社の中で解決できないならば外の人に相談しましょう。
いきなり弁護士では費用面など不安でしょうが、団体や自治体により「無料法律相談会」などが開催されているので積極的に相談しましょう。また厚生労働省が総合労働相談コーナーを設置しています。
総合労働相談コーナーでは専門の相談員は面談あるいは電話で相談を受け付けています。必要な場合は裁判所、地方興行団体などに情報を提供してくれます。
総合労働相談コーナー(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
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