越境トラブル、自分の土地なのに所有権はない?

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― 家の前の市道を舗装して欲しい ―

道路も使っていればアスファルトが剥がれたり、凸凹ができたりしてしまいます。道路(市道)を舗装して欲しい場合は市に依頼するしかありませんが、なかなかキッカケがないと予算の都合もあり直ぐに承諾はしてもらえません。

キッカケの1つはセットバックで生じた土地(後退用地)の、自治体への無償提供です。無償提供することでその部分の管理義務は自治体に移行し、自治体は道路の舗装に前向きになってくれます。

今回我が家が無償提供したことで、目の前の道路の舗装工事が始まりました。市の職員が公道の境界杭を検査し、道路には境界杭の位置をアピールする蛍光ピンクのテープがヒラヒラ舞っています。境界杭は土地の境界を客観的に分かる重要なものです。保全には注意しなくてはいけません。

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越境トラブルはすぐに専門家に相談!

境界を越えて他人の土地を浸食する行為を「越境」と言い、越境トラブルは隣人トラブルでも多い事例です。越境は個人の土地に対してものだけでなく、自治体や国の土地に対するものも該当します。

【主な越境トラブル】

  • 時効取得した土地の境界
  • 隣の建物の越境
  • 越境建物の放置
  • 枝や根の越境

越境トラブルは法律が複雑なので個人での解決が難しいです。近くの法テラス(日本司法支援センター)などに相談しましょう。土地や建物などの不動産の所有権等には時効があるので、越境行為を発見したら早めの相談が大切です。

埼玉北部では、熊谷に日本司法支援センター埼玉地方事務所熊谷地域事務所(埼玉県熊谷市筑波3-195熊谷駅前ビル7階 )があります。また、法テラスではメールでの相談も請け負っています(24時間年中無休で受付、可能な限り早く回答)。

越境トラブルの時効は10年または20年

不動産に関する所有権等の権利には20年の時効があります。時効対象となるのは所有権の他には地上権、地没権、永小作県、賃借権などがあります。次の条件を満たすと時効が成立がします。

【時効を満たす条件】

  • 20年間占有していた
  • 所有の意志を持っていた
  • 特に問題なく平穏かつ公然だった

また、「他人の敷地とは思わなかった(知らなかった)」など悪意がない又は無過失だった場合は10年で時効が成立します。

【不動産に関する権利に時効がある理由】

  • 長年続いた事実状態を覆すことは混乱を招くため
  • 権利の証明が困難な事実を守るため
  • 権利を主張しないものは保護に値しないという考えがあるため

不動産に関する権利に時効があるのは、時効制度は真実を優先するからです。一般的に権利を優先する法律のなかで時効制度は異質な存在です(所有権等の権利の保護は法律がしている)。

公法上の境界と私法上境界がある

境界には「公法上の境界(筆界)」と「私法上の境界」があり、多くの土地はこの2つが一致していますが、不一致の土地もあります。

「公法上の境界(筆界)」とは境界杭(境界標)で定められている境界で、公的に決められている”絶対的なもの”です。個人がどうこうすることはできません。公図も公的なものですが、土地によっては土地が正確に表記されていない場合もあるので”絶対的”とは言えません)。

一方で、「私法上の境界」とは隣接する土地の所有者間で取り決めたことや所有者権に係る境界で、例え双方合意した協議によるものでも改めて公法上の境界が主張されれば私法上の境界は無効になります。

つまり、最後に権利を主張できるのは境界杭です。土地を相続するときや購入するときは、必ず全ての境界杭があることを確認しましょう(欠損している場合は必ず復元すること)。境界杭の復元は公図を参考に行われますが、公図も無い場合は法務局に筆界特定の申請をする、または、裁判所に境界画定の訴訟を提起する必要があります。

越境トラブルの解決には時間がかかる

越境トラブルの解決には時間がかかる場合が多いため、解決に時間がかかると判断できた時点で必ず隣地の所有者と双方合意の上で書面(覚書など)を取り交わすのが一般的です。

一度取り交わした書面は後から内容を変更することは難しいので、弁護士・司法書士・土地家屋調査士などの専門家に記載内容を相談するようにしましょう。

【契約書に記載される内容】

  • 建て替えるときには越境を解消すること
  • 所有者が変わっても取り決め内容を承継すること
  • 時効取得を主張しないこと

土地の所有者はその土地の上空や地中にも占有権があります。その全ての占有権・所有権に対して毎年決められた税金を納めているので、一部であれ他人に占有されている場合でも、その部分も含まれた固定資産税を支払う義務が所有者にはあります。他人に占有されている部分の税金の負担に関する交渉についても専門家に相談して書面に盛り込みましょう。

空き家の越境トラブルと法律の限界

所有者が分からない土地や建物、つまり空き地または空家の越境トラブルも多いです。

所有者が亡くなり相続人もいない場合、土地や建物は国のものとなります(原則)。しかし、亡くなった所有者に「相続人がいないこと」を証明することは難しいため国も簡単に個人所有の土地や建物を国のものにできないのが現状です。

空き地・空き家の越境トラブルに対してできることは所有者に連絡を取ることだけです。個人で所有者が分かる情報源は地元情報、土地の台帳、納税記録です。

土地の台帳には現在の所有者の氏名・住所が記載されていますが、登記当時の所有者の住所であるため郵便を出しても返ってきてしまうケースが多々あります。納税記録は毎年1回更新されるので所有者の正確な情報を知る一番の方法ですが、個人情報なので高額な費用を払って弁護士や司法書士等に連絡を取ってもらうしかありません。

また連絡先が分かったといって越境トラブルが解決できるとは限りません。例えば”建て替えるときに越境を解消する”という約束を結んでいたとしても、建て替えなければ約束を履行する義務等はありません。”ただ放置しているだけ”ならば法律を駆使しても越境を解消することはできません。

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