2019年の夏休みは休みの取り方次第で10日前後の長期連休が可能となり、海外旅行を計画している人が多いです。
東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国は蚊を媒介にして感染症にかかる危険性が比較的高い地域です。近年、この地域を中心にした海外渡航者が増えるにしたがい日本国内に蚊を媒介にして拡大する感染症が持ち込まれるケースも増えています。
ただし、蚊に刺されるのは感染症の不安以前に痒くなるのでイヤです。できるだけ蚊に刺されたくはありません。そのためには蚊の発生しない環境を整えるのが大切です。
スポンサードリンク日本で生息している蚊は基本的に3種類
- アカイエカ
- ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)
- チカイエカ
日本で生息している蚊は基本的に上の3種類ですが、海外への渡航が盛んになるにつれて日本国内でこれ以外の蚊の成虫が確認されています。
国立感染症研究所(NIID)の報告によると、航空機によるネッタイシマカの成虫の侵入がいくつかの国際空港で近年頻繁に起きています。
吸血するのはメスの蚊(成虫)のみ
蚊はメスだけが産卵のための栄養源として吸血します。メスの蚊は動物が出す炭酸ガス、ニオイ、温度を感知して吸血源を探し求めます。
蚊はその種類により吸血する時間が異なります。但し、チカイエカは浄化槽で発生する蚊で、ビルや地下鉄駅構内など建物内で吸血するので時間はあまり関係ありません。
アカイエカ | 夕方から夜にかけて |
ヒトスジシマカ(ヤブ蚊) | 昼から夕方にかけて |
チカイエカ | いつでも |
メスの蚊(成虫)の寿命は20~40日
羽化後数日で死んでしまうオスとは対照的にメスの蚊は20~40日、条件があえばそれ以上生きることが可能です。メスの蚊はこの間何度も産卵します。
蚊は水の中に卵を産みます。気温が25~30℃の場合、産卵から10日ほどで蚊は成虫になります。
蚊の移動距離は発生源から1km以下
蚊は基本的に生まれた場所からあまり遠くに行かない傾向があります。
研究の困難性から標識再捕獲法を用いた研究は極少ですが、蚊の移動距離は発生源から長くても1km程度、ヒトスジシマカについては70m程度と知られています(人や動物にくっついて移動したり、自動車や航空機内に入り込んで移動したケースは除く)。
蚊対策は蚊の産卵場所をなくすのが有効
蚊対策として、自宅周辺の水溜まりをなくして身のまわりの蚊の生息数を減らすことが有効だと考えられます。植木鉢の受け皿やプラスチック容器は水が溜まりやすいので注意します。
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蚊が産卵のために吸血する点と蚊の行動範囲が1km未満であることを考慮すると、吸血する蚊が水溜まりから遠く離れることは考えにくい。
どうしても水がたまってしまう場合は10円玉
銅イオンには蚊の発育を抑制する機能があるので、たまっている水の中に10円玉を入れておくと蚊の発生を防ぐことができます。
参考:【PDF】銅イオンが蚊の発育抑制に大きな効果|日本銅センター
蚊は飛ぶのが下手なので壁で待ち伏せる
家の中に入った蚊は壁で待ち伏せるタイプの薬剤で倒すのが有効です。我が家は”卑怯だろう”と笹野高史さんがCMしている『蚊がいなくなるスプレー』を愛用しています。
蚊がいなくなるスプレー 蚊取り 12時間持続 200日分 無香料 (防除用医薬部外品)待ち伏せタイプの防除剤が蚊に有効の理由は?
壁で待ち伏せタイプが有効なのは蚊は飛ぶのが下手だからです。蚊がいつも隅の方にいるのはちょっとでも風に吹かれるのを避けるためです。窓を開けたり、エアコンをつけるなどして室内に風を起こせば蚊は避難しようと壁によって止まり、そんな蚊を待ち伏せ薬剤が退治してくれます。
日本にも蚊の吸血による感染症がある
蚊の吸血によりデング熱やジカウイルス感染症などに感染する恐れがあります。国立感染症研究所では、2014年にデング熱が流行したときの対応を参考に『デング熱・チクングニア熱・ジカウイルス感染症等の媒介蚊対策マニュアル』を作成しています。
デング熱は2014年に70年ぶりに日本国内で流行
ネッタイシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症である。デングウイルスはフラビウイルス科に属し、4 種の血清型が存在する。比較的軽症のデング熱と、重症型のデング出血熱とがある。
デング熱とは|国立感染症研究所(NIID)公式サイト
デング熱は2014年夏に国内で流行った感染症です。感染者の99%が都内の代々木公園で感染しましたが、初めの感染者(=海外から持ち込んだ人)は埼玉県の人でした。このとき出産間近だったことがあり「感染したらどうしよう」と不安だったのを覚えています。
デングウイルスを主に媒介するのは『ネッタイシマカ』と『ヒトスジシマカ』です。ネッタイシマカは日本には生息していませんが※、ヒトスジシマカは大量に生息しています。当時はヒトスジシマカの生息数調査と殺虫剤による成虫駆除が実施されました。
10月下旬までは蚊に刺されない対策をする
蚊が多くいる場所(ジメジメしている所など)で活動する場合は、肌の露出をできるだけせず、虫よけ剤を使って蚊にさされないようにすることが大切です。
海外渡航する人は渡航先の感染症情報に注意する
2019年のお盆シーズンは休みの取り方で長期になるケースもあるため、昨年以上に海外旅行する人が多い見込みです。
海外渡航される人、特に妊娠中の人は、渡航先の感染症情報に注意して蚊に刺されない対策を徹底するようにします。妊娠中の人に特別な注意を促す理由は、ジカウイルス感染症が胎児の小頭症との関連性が指摘されているからです。
対蚊で埼玉県が設置した2つの担当部署
対蚊に関しては2つの担当部署があります。
まず、蚊媒介の感染症に関しては、埼玉県保健医療政策課(048-830-3557)が担当部署となっています。次に蚊の防除に関しては、埼玉県生活衛生課(048-830-3606)が担当部署となっています。
感染の不安があったら保健所に相談
感染の不安がある場合は帰国された際に空港等の検疫所や最寄りの保健所などに相談すると良いです。
帰国してすぐに発熱などの症状が出た場合は医療機関を受診し、その際に海外に渡航していた旨を告げるようにしましょう。
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