ラガーの特徴は「のどごしが良く、すっきりとした爽快感」。
エールの特徴は「豊潤で濃厚な味わいと飲みごたえ」。
この2つの異なる特徴はビールの製造工程のひとつである『発酵』の違いで生まれています。
日本のビールのほとんどは『上面発酵』か『下面発酵』。
熟成期間の長い下面発酵でできたビールを、ドイツ語で貯蔵を意味する『ラガー(LAGER)』と言います。
そう、「LAGER」。
ビールの缶の印刷が「LAGER」と間違えてしまい廃棄処分となるところ、中身は問題なしとして一転売り出された話題のサッポロビール『サッポロ 開拓使麦酒仕立』を買って飲んでみました。
参考:スペル間違いの「LAGAR」一転発売「AでもE」 – 社会 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)
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ビールの発酵は3種類
ビールは「大麦を発芽させた麦芽(モルト)」「ホップ」「酵母」「水」が主な原料。
モルトから作った麦汁に酵母(イースト菌)を入れると、麦汁の中の糖を餌にした菌がアルコールと炭酸を生成します。
これを『発酵』といいます。
ビールには発酵の(させ方)が3つ、
・上面発酵 常温からやや高温で3~4日間発酵させた後、約2週間熟成
・下面発酵 低温で7~10日間発酵させた後、約1ヶ月間熟成
・自然発酵
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ラガーとエールの違い
ラガーは下面発酵(低温発酵)、エールは上面発酵(常温発酵)です。
最初に作られたのが常温発酵のエール、次に作られたのが低温発酵のラガーです。
この発酵方法の違いは、自家製ビールを作ったときに分かりました。
エール:上面発酵(常温発酵)
『エール』は麦汁の表面に酵母が浮き上がる上面発酵のビールです。
3~4日間常温からやや高温の環境下で発酵をさせて、それから約2週間熟成させて完成するそうです。
エール製造で難しいのが「腐敗」。
酵母がカビやすかったり、腐敗しやすかったり、品質トラブルの不安がありました。
ラガーと違ってエールは液面が泡立つので、エアロックに泡が逆流して大変でした。
ラガー:下面発酵(低温発酵)
エールの品質トラブルを改善するために誕生したのが低温発酵、氷を使って洞窟内で春まで熟成させる方法です。
そのため、中世のビール造りは腐敗の少ない冬に行うのが主流となったそうで、この低温発酵で作られたビールが『ラガー』の原型です。
ラガーは麦汁の底に酵母が沈みながら発酵する下面発酵のビールです。
7日~10日間、5℃前後の低温の環境下で発酵させた後に約1か月間熟成させて出来上がります。
自家製ビールでは25℃前後でラガーも作りますが、下面発酵なので酵母はアルコールの中にあり腐敗しにくくなっています。
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ビール安定供給の立役者『ルイ・パスツール』
ビールの製造で問題となるのが「雑菌」。
その雑菌を死滅させる方法を発見したのが細菌学者のルイ・パスツールです。
パリにある生物学・医学研究を行う非営利民間研究機関『パスツール研究所』を作った人です(狂犬病ワクチンを開発したのちに開設)。
ラガーの低温発酵でも雑菌の動きを鈍らせていただけでしたが、ルイ・パスツールの発見した『低温殺菌法(パスチャライゼーション)』は60~80℃の熱を15~30分間加えることで雑菌を死滅させます。
フランス人の彼は葡萄酒が悪くなるのを防ぐならないように雑菌を死滅させることを考えたとか。
この技術は現代でも牛乳・ビール・ワイン等の液体の中のバクテリアやカビ菌といった雑菌を滅菌させる方法として幅広く利用されているそうです。
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ラガーとピルスナーの違いは?
日本で製造されるビールの大半が『ピルスナー』。
このピルスナーはラガーの1種で、ラガーの中でいくつもあるビアスタイルのひとつです。
世界のビールのほとんどが「ピルスナー」
飲みやすさに定評のあるピルスナーは、世界のビール消費量の約7割を占めます。
ピルスナーのビアスタイルは、
・淡色麦芽
・ノーブルホップ
・軟水を組み合わせた長期低温発酵
淡い黄金色がピルスナーの特徴で、それまでのビールの色は濃褐色だったため「世界初の金色のラガービール」と評されたそうです。
ピルスナー発祥の地はチェコ(ボヘミア地方)
ドイツで誕生したラガーが欧州全土に広がる過程で、地域ごとの独自性を帯びた様々なビアスタイルが生まれました。
ピルスナーもその1つ。
ピルスナーが生まれたのがドイツの隣にあるチェコ、この国のボヘミア地方にあるピルゼンという街です。
ホップの産地として有名なピルゼンはビール醸造も盛んで、この街のビール醸造家は本場ドイツのラガーを学ぼうとミュンヘンから醸造技術者を招いてビール造りをしたそうです。
これがピルスナーの始まりで、ピルゼンが「ピルスナー」の名前の由来となっています。
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