乳飲料は健康補助を目的としてカルシウム、鉄分、ビタミンDなどの栄養成分を加えていることが多いです。
ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートする栄養成分ですが、生乳には含まれていません。牛乳と言えばカルシウムなので、乳飲料ではビタミンDを加えていることが多いです。
そして最近注目されているのが鉄分。
2020年9月末にネスレ日本が『ミロ』の販売一時休止を発表しましたが、休止の原因は需要が供給をはるかに上回ったからで、需要拡大の原因はSNSでミロが貧血改善および予防に効果があると騒がれたからです。
厚生労働省が推奨する1日の鉄分の補給量は男性7.5㎎/女性10.5mg(月経のない女性の場合は6.5㎎)。しかし現代の私たちの食事からでは1日6~7㎎程度しか鉄分が補給されていないのです。
この差を埋めるのがミロ1杯(ミロ15g+牛乳150ml)に含まれる鉄分約3.2mgというわけなのです。
乳飲料は低脂肪乳を原料のものがオススメ
乳飲料のなかでも低脂肪乳を原料とするものが、味は牛乳と変わらない点、カロリーが低く調整されている点、低価格という点からオススメです。
低脂肪乳と牛乳の違い、そして低脂肪乳が安い理由をまとめました。
低脂肪乳と牛乳の違い
牛乳は牛から搾った乳(生乳)を殺菌しただけのものですが、低脂肪乳は生乳から乳脂肪分を除去して乳脂肪分を0.5%以上1.5%以下に調整しています。
牛乳は乳脂肪分が3%以上で、逆に乳脂肪分0.5%未満のものは無脂肪乳となっています。
牛乳類は成分によって種類が分かれ、成分規格や表示は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(食品衛生法)で決まっています。
低脂肪乳が安い理由
牛乳から低脂肪乳を作るときに出た脂肪分からバターや生クリームなどの乳製品が作れるため、低脂肪乳は牛乳よりも安くできます。
逆に脱脂粉乳などの乳製品から低脂肪乳などの加工乳の材料となるので、時期によって牛乳が余ってしまったときに加工しておけば必要なときにそれを無駄なく加工乳とすることができます。
牛乳のコクは乳脂肪によるものといわれているため、日本ではコクがなくさっぱりしている低脂肪乳は牛乳よりも需要が少なくなっています。それも低価格に影響を与えています。
実際に米国ではダイエット目的から低脂肪乳・無脂肪乳の需要が高く、牛乳と同価格で販売されています。
乳飲料でも体に合わないのは牛乳と同じ
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするというように、牛乳や乳製品に含まれる「乳糖」を分解できない体質の人もいます。
このような体質を『乳糖不耐症』といい、あまり知られていませんが日本国内でも2,000~3,000人いると言われています。
乳糖に関係する症状なので、乳糖フリーの乳飲料を除く牛乳類全てに該当します。
乳糖不耐症と牛乳アレルギーの違い
牛乳などの乳成分はアレルギーを起こす成分(アレルゲン)の1つですが、乳糖不耐症はアレルギーとは違います。
牛乳アレルギーは牛乳類に含まれるたんぱく質に免疫系が反応します(化学的反応)。一方で乳糖不耐症は乳糖の消化不良であり、下痢や腹痛など消化器系に反応します(物理的反応)。
しかし、どちらも体に異常が起きるのは同じです。
乳糖不耐症はアレルギー反応ではないため命が危険にさらされるケースは稀ですが、飲んだ本人がつらい思いをする点では同じです。
乳糖不耐症の可能性がある場合は無理をせず、医師など医療機関に相談することをおすすめします。
乳飲料で鉄分を補給して健康を維持
乳飲料の中にはミロの人気爆発からヒントを得て食事のみでは補給しきれない鉄分を加えた者も増えています。
体内の鉄が減少すると血液中のヘモグロビンが減って、体中に酸素を送る能力が低下してしまいます。酸素が体中に行き渡らないと疲れやすくなり、運動機能が低下して、息切れや頭痛などの症状が現れます。
ヘモグロビンを作るときは、主原料である鉄分の他に葉酸やビタミンB12も必要です。葉酸やビタミンB12が不足すると赤血球になる前に壊れてしまいます。
倦怠感に関節痛、息切れや頭痛…新型コロナウイルス感染症の症状?
そういえば新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐため、自宅療養者を中心に自治体が配布しているパルスオキシメーターは血液中の酸素量を測るものです。
新型コロナウイルス感染症にかかると肺が酸素を取り込む量が減るため、全ヘモグロビンのうち酸素を運ぶヘモグロビン量が少なくなります。
日頃から貧血気味でヘモグロビン量が低い場合、酸素を運ぶ能力がさらに低下する=重症化する可能性が高いとも考えられます。
新型コロナウイルスの重症化しやすい人リストに貧血はありませんが、貧血は軽視されがちで病院で治療せず放置してしまうこともあるため『既往症』としにくい/されにくいようです。
でも新型コロナウイルスの重症化リスクを血液中の酸素量でみるなら貧血を甘く見ると危険なような…。
血液1dl中のヘモグロビン量が、15歳以上の男性の場合は13.0g未満、女性の場合は12.0g未満になった場合は貧血と判断されます(妊娠中の場合は11.0g未満)。
10~11gの場合は軽度の貧血となりますが、常に10g未満という場合は病院での治療を検討する必要があります(生理などで一時的に10g未満になる場合はあまり心配はない)。
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