ロシアのウクライナ侵攻は未だ終わりが見えず、連日のように戦争の被害にあったウクライナに住む人々の哀しい映像がニュースで流れています。
4月12日、バイデン米大統領はウクライナ侵攻に伴うロシア軍の行為について、「ジェノサイド(集団殺害)だ」と非難しました(時事通信社2022年4月13日/ワシントン時事より)。
あわせて、バイデン氏はロシアのプーチン大統領に関し「『ウクライナ人』が存在し得るという考えすら一掃しようとしていることが、より明確になっている」と主張しました。
「ジェノサイド」って言われるとギョッとするね。
[/word_balloon]言葉の持つイメージ「言霊」の影響かもしれませんね。
バイデン大統領はこれまでは露軍の行為について「戦争犯罪」と言っていましたが、今回初めて「ジェノサイド」と一歩踏み込んだ言葉を使ったことで、その犯罪行為の重さを非難したことになります。
「戦争犯罪」ってよく聞くけど、戦争にもルールがあるということ?
[/word_balloon]はい、戦争には「戦時国際法」というルールがあります。
[/word_balloon]今回は「戦時国際法」について。
また、デフォルトに関する記事内で、「ロシアが良く戦争する理由」について調べた結果を載せています。
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戦時国際法とは?
戦時国際法は国際法のひとつで、「戦争状態であってもあらゆる軍事組織が遵守すべき義務」を明文化したものです。
「ハーグ陸戦法規」や「ジュネーヴ条約」など、戦時国際法はいくつもの条約や宣言をまとめて、ハーグ条約によって成文化されたものです。
戦時国際法の代表的なルール
戦時国際法の代表的なルールとして、
・軍事目標以外への攻撃禁止(降伏者、負傷者、民間人等への攻撃禁止)
・休戦旗を揚げながら戦闘する行為
・避難信号を不正に発信する行為
・赤十字旗を揚げながらの軍事行動
・軍事的必要性を超える無差別な破壊・殺戮
・捕虜虐待の禁止
・対人地雷使用の制限
・化学生物兵器使用の制限
・開戦に先立つ宣戦布告義務
但し、これには条約締結国だけに適用されるものもあります。
時代や国が変わっても、絶対に卑怯と言われそうなことばっかり。
[/word_balloon]ハーグ条約が締結されたのは1899年と1907年、今から約120年前です。
その後1921年に国際連盟が作られ、1928年には戦争を違法化したパリ条約が成立しました、今から約100年前です。
それから人類は国際秩序を少しずつ作り上げ、「悲惨な戦争が繰り返されないように」「戦争の被害を少しでも抑えられるように」と努力してきました。
今回のロシアの行動は、国際秩序を守るべき「国連の常任理事国が起こした大規模な侵略」となるのです。
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国際法には遵守を強制する機関がない
例えば、日本国内で犯罪を犯すと警察に逮捕され、裁判所で裁かれ、罰を受けます(罪を償います)。
実行機関(=警察や裁判所)に強制力があるのは、日本が制定した法律がそう決めているからです。
国際社会には、戦時国際法などの国際法があっても、実行機関(強制力)がありません。
そんな強制力をもつ実行機関を設置することは、国家に対する「主権侵害」となりかねないからです。
オランダのハーグに「国際司法裁判所」がなかった?
[/word_balloon]あります。
国際司法裁判所は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「国際法に照らして重大な問題を提起している」というウクライナ側の訴えを認めて、3月16日にロシアに対して直ちに軍事行動をやめるように命じる暫定的な命令を出しています。
命令を聞いていないよね…「暫定的」だから?
[/word_balloon]国際司法裁判所の訴訟には当事国の同意が必要です。
今回ロシアはその意思を示していないので命令は暫定的なもの、ロシアからしてみれば一方的に決められたものとなります(しかし裁判所は「暫定的な命令でも法的拘束力がある」としています)。
実効的な拘束力がないと、命令に法的効果があっても効果は見られないということだね。
[/word_balloon]実効的な拘束力がないことは、国際法の最大の弱点といえます。
[/word_balloon][su_label]ー この記事はここで終わりです -[/su_label]
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