転職した友人が「いまのアパートは会社契約だから転居の準備で忙しい」と愚痴り、今ではマイホームがありますが、元転勤族、引っ越しの準備に追われる友人の姿に懐かしさを覚えました。
何とか希望に合ったアパートを見つけたと先日無事に契約。
「ちゃんと契約書を読んで騙されないように」と40歳を過ぎた男に過分な注意をしていたら、具体的に「どんな騙し手があるのか」が話題になりました。
調べてみると、不動産業者の「騙す手口」のほとんどが『オプション』でした。
今回は不動産契約の『オプション』について。
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不動産業者は『仲介手数料』で稼ぐ
アパートやマンションを賃貸する場合、家賃の他に契約のときに次のような初期費用がかかるのが一般的です。
敷金
礼金 … 借主から貸主へのお礼金
前家賃
仲介手数料
火災保険料
敷金の返還が法律で義務化
敷金とは、アパートなどの借主が「家賃の支払い」や「部屋を損傷させた場合の修理費」などの金銭債務を担保するため契約時に貸主に渡すお金です。
家賃が支払われなかったり、部屋を傷つけられても直してもらえないといった、借主による金銭トラブルを保障するための費用です。
敷金は預り金なので、契約終了時(退去時)に、一部を除き、大半が返却されるものです。
しかし、傷つけられた部屋を直すための費用(原状回復に必要な費用)の解釈の仕方がいろいろあり、借主の責任の範囲に幅があったため「敷金が返ってこない」トラブルは多発。
そのため、2020年4月に施行された「改正民法」で、「貸主の敷金返還義務について」明記されました(第622条の2)。
敷金の返還時期は賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき(一部例外あり)。
敷金返済義務の範囲は、敷金の額から家賃の滞納分や借主に責任ある損傷の修理費を差し引いた金額(一部例外あり)。
「借主に責任ある損傷」とは、借主が故意もしくは不注意で壊した・汚したものの修理費であり、
・壁紙の自然な汚れやフローリングの日焼けなど、経年劣化と判断されるもの
・画鋲の挿し痕や一般的な家具を置いたことによる床のへこみなど、常識的に使用して残った痕跡の修繕
・ハウスクリーニングや鍵の付け替えなど、次の入居者のためのもの
これらにかかる費用は一般的に「貸主の負担となること」が法律で決まりました。
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不動産業者は『オプション』で稼ぐ
アパートやマンションの賃貸契約を仲介すると不動産業者に仲介手数料が入ります。
その契約で更に稼ぐため、不動産業者の中には『オプション』を設けていることがよくあります。
オプションなので本来は借主の方で要・不要の選択ができるのですが、賃貸契約書の特記事項に「〇〇(作業)にかかった費用は借主負担」などと”当たり前”風に書かれていることがあります。
サインをする前に必ず特記事項は確認し、その内容が不当な場合は契約書の内容変更を要求しましょう(サイン後の変更は基本できない)。
[/word_balloon]オプションは契約書の『特記事項』にある
賃貸住宅契約書のひな型(標準)は国土交通省の公式サイトにあり、契約書の基本的な部分は標準仕様に則って作られています。
不動産業者がオリジナリティを出すのが『特記事項』で、不動産業者の中にはこの特記事項をうまく活用して稼いでいるところもあります。
代表的なオプション
賃貸契約のオプションとして多いのが、
・消臭および除菌
・ハウスクリーニング
・鍵の付け替え
ハウスクリーニングについては基本的に貸主の責任で、下見の際に常識の範囲を過ぎた汚れがある場合は貸主の責任で改善してもらいます。
「常識的な範囲でキレイになっているけれど、気になるからハウスクリーニングをやって欲しい」場合は借主負担になります。
鍵についても同様で、「鍵が破損している」場合の修繕費は貸主負担、「壊れてはいないけれど安全のために鍵を付け替えたい」場合の費用は借主負担となります。
コロナ禍で増える除菌オプション
コロナ禍で増加しているのが、入居前の除菌作業の依頼です。
消臭・除菌作業は2~3万円が相場のようですが、その質はピンからキリで、プロの業者を雇って作業している不動産業者もあれば、不動産会社のスタッフがスプレー除菌しているケースもあります。
「不動産会社のスタッフがスプレー除菌」と聞くと冗談のようですが、この件については2018年冬に札幌で起きた不動産会社の店舗のガス爆発で実情が露見しています。
不動産会社のスタッフが室内に充満させたスプレー剤のガスに引火して起きた爆発事故。爆発した原因のスプレー剤は消臭・除菌用のもの、当時廃棄のために室内で100本以上を一斉を噴射していたことから、芋ずる式に「お客さんに高額請求していた除菌・消臭作業は実際は杜撰なものだった(原価1,000円未満)」ことが発覚。
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『特記事項』の確認は入居後のトラブルも防ぐ
入居後は安心して暮らせるように、契約書、特に「特記事項」に次のことが書かれているかを確認します。
・賃料の変更
・共益費の変更
・敷金の返済 ←法律で義務化されたので省略しているケースも多い
・契約期間中の修繕
賃料の変更について
賃料の変更については、「当事者間の交渉によって改訂できること」が明記されているか確認します。
明記されていることで、勝手に賃料が変更されるのを防ぎつつ、経年劣化などに合わせて契約更新時に賃料の引き下げを交渉できるようになります。
共益費の変更について
共益費の変更については、「当事者間の協議によって改訂できること」が明記されているか確認します。
明記されることで、勝手に共益費を変更されるのを防ぎます。
契約期間中の修繕について
民法上は賃貸住宅に係る修繕は貸主の責任であるため、修繕は借主に故意・過失がある場合を除き、「貸主が全額費用負担をすること」が明記されているか確認します。
明記されることによって、不当な費用請求を防ぎます。
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最後に。
賃貸契約書は必ず、「全て読んでから」サインおよび押印するように心がけましょう。
細かいところまで、特に『特記事項』に注意して、全て読むことが自分(たち)を守ることに繋がります。
[su_label]ー この記事はここで終わりです -[/su_label]
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