サイトアイコン 「  」

心神喪失で無罪 になったら「その後」はどうなる(すぐに世の中に出てくる?)

 京アニ放火事件(京都アニメーション放火殺人事件)を起こした青葉被告に対する刑について、最大の争点は「 心神喪失で無罪 (または心神耗弱で減刑)となるか」でした。

 今回は 心神喪失で無罪 となったらどうなるのか(すぐに世の中に出てくるのか)、調べてみました。

「 心神喪失で無罪 」は法律で認められている

 心神喪失者について、刑法には次のように規定されています。

 「心神喪失者の行為は、罰しない」、つまり心神喪失が認められるとその事件は無罪になるということです。

「 心神喪失で無罪 」になったら、その後は?

 無罪になると勾留されている被告人をそのまま拘束し続ける根拠がなくなるので世の中に出てこられることになりますが、京アニ放火事件のような”重大な他害行為”を行った心神喪失者の場合は入院または通院させて治療を受けることになります。

 入院期間については法律では上限がありませんが、厚生労働省のガイドラインで「概ね18か月以上を目指す」とされています(通院期間については3年間※ただし2年間延長することができる)。

心神喪失で無罪 、「心神耗弱」の場合は?

 心神喪失は「精神の障害により事物の是非善悪を弁識する能力なく又はこの弁識に従って行動する能力なき状態」に対し、心神耗弱とは「精神の障害が未だ上記能力を欠如する程度に達していないが、その能力が著しく減退した状態」を指します。

 刑罰については 心神喪失は無罪 ですが、「心神耗弱者の行為は、その刑を減刑する」とあるので心神猛弱者の場合は実刑ではなく執行猶予になる可能性が高くなります(執行猶予なので有罪にはなるが刑務所に収監などの刑は執行されない)

 執行猶予の場合は無罪と同様に勾留されている被告人をそのまま拘束し続ける根拠がなくなるので世の中に出てこられることになりますが、”重大な他害行為”を行った心神耗弱者の場合も入院または通院させて治療を受けることになります。

”妄想”で京アニ放火事件を起こした犯人に「 心神喪失で無罪 」は認められない

 2019年に起きた36人が亡くなった京アニ放火事件で殺人など5つの罪に問われた青葉真司被告について、弁護側は「心神喪失で無罪、または心身耗弱で減刑すべき」と主張したが地裁は求刑通り死刑を言い渡しました。

 つまり刑事責任能力について完全責任能力を認定、「心神喪失でも心神耗弱の状態でもなかった」と判断したことになります。

 心身衰弱もしくは耗弱かどうかは「事物の是非善悪を弁識する能力の有無(あったとしても欠如もしくは減弱していたか)」がポイントになります。

 これについて、今回の争点は被害者の「妄想」。

 裁判では犯行動機として「妄想の影響がある」と認めましたが、犯行として放火殺人を選んだことについては「妄想の影響はない=攻撃的な性格、本人の考え方、知識に影響された」と判断。

 また実行前に現場近くを十数分間うろうろしていたことについて「犯行を思いとどまることができた」、つまり是非善悪を弁識していたと指摘。

 さらにメディアの情報を元に犯行時間帯を検討したこと、ガソリンなどを準備したことなど行動に一貫性にあることから「責任能力はある=極刑を回避する事情はない」と判断したそうです。

 京アニ放火事件、当時のことをかいた記事があります「京アニ放火事件 、海外でも広がる支援の輪にアニメには国境がないことを実感 」。

モバイルバージョンを終了