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新型コロナウイルス感染症の治療に抗HIV薬が使われる理由は?

タイなどで新型肺炎の症状が抗HIV薬の投与で改善した事例を受けて、日本でも国立国際医療研究センターを中心に抗HIV薬の臨床試験の準備がすすめられています(菅官房長官による2020年2月18日の記者会見)。

国立国際医療研究センターでは、30代の中国人女性にロピナビルとリトナビルの配合剤を投与したと報告(2020年2月5日)。酸素化の低下と軽度の呼吸困難が一時みられたが、37度まで解熱して倦怠感も改善に向かっていることを明らにされています。

我が国の研究者が行ってきたSARS及びMERS等に関する知見等を踏まえ、診断法の開発・治療法の開発、さらに、ワクチン開発などを実施する予定

2020年2月14日に実施された竹本直一科学技術相の記者会見より

抗HIV薬でウイルスの増殖を防ぎながら自分の免疫で治す

新型コロナウイルスには特効薬がないので、薬で免疫力のサポートをしながら対処療法している状態です。

抗HIV薬はサポーターの1つ。

新型コロナウイルスの感染拡大に対し、中国の医師らは2020年1月下旬に北京で新型コロナウイルスの患者に抗HIV薬を投与していることを認めました(SARSに対し良好な反応を示したという2004年の研究に基づいて実施)。投与したのはロピナビルとリトナビルという2種類の抗HIV薬と抗インフルエンザ薬(オセルタミビル)です。

素人判断ですが、抗HIV薬で新型コロナウイルスが増えるのを防いで、抗インフルエンザ薬で免疫機能を強化していると考えられます。

新型コロナウイルスとHIVの共通点「プロテアーゼ」とは?

新型コロナウイルス(COVID-19)にはエイズの原因ウイルス・HIVと同じようにプロテアーゼという酵素があります。

ヒトの体には免疫を担当する免疫細胞があります。免疫細胞など細胞の素材はタンパク質、プロテアーゼはタンパク質を変異させるため免疫細胞を機能しなくしてしまいます。

プロテアーゼがあちこちで悪さすると免疫細胞の数が減るため、免疫機能が低下して感染力の弱い菌でも重症化してしまいます。免疫機能低下の代表的な病気がエイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)です。

抗HIV薬の中でもロピナビルとリトナビルはプロテアーゼ阻害薬、つまりプロテアーゼがタンパク質を変異させるのを邪魔をする薬です(リトナビルの方は正確にはロピナビルの力を助長させるブースターの働きをする)。

抗HIV薬の「ハサミの役割」とは何か?

私たちの体の中の免疫機能は、例えるならば兵士です。兵士たちは隊を組んで体の中にウイルスや細菌などが入ってきたら闘います。インフルエンザウイルスのようにいまの兵力では撃退できない敵が来たら、私たちはタミフルなどの抗ウイルス薬を体内に入れて武装(免疫力アップ)させます。

病気との闘いは免疫力が勝つか、ウイルスや細菌等の害を与えるものが勝つかです。

ウイルスや細菌等が私たちの体に与える攻撃方法は2つ。1つはその毒性などの力で攻撃して免疫細胞を壊すタイプ、もう1つは搦め手で免疫細胞の性質を変えて機能させなくするタイプです。

プロテアーゼで免疫細胞を変異させるHIVは搦め手タイプです。

搦め手タイプの攻撃パターンは、①免疫細胞を探す、②免疫細胞を孤立させて捕える、③捕えた免疫細胞を変異させる、③変異させた免疫細胞を放つです。

HIV治療薬の開発者が思いついたのは「免疫細胞を変異させる”手段”を壊そう」というやり方です。

細胞はタンパク質がいくつも手をつないでいる状態だとイメージして下さい。プロテアーゼはハサミに例えられるように細胞のタンパク質を切断し、孤立させた免疫に関わるタンパク質を囲い込み、変異させます。変異が完了すると囲いを解いて次のターゲットに向かいます。

開発者はプロテアーゼを壊すために細胞のタンパク質に、例えるならば粘着質なものを付着させ、それを切ったらベトベトがついて次はもう切れない状態する阻害薬を開発しました。これはガムテープを切ったハサミの刃にベトベトな接着剤がつくと切れにくくなるのと似ています。

新型コロナウイルスの感染予防で注目される乳酸菌

特効薬のない新型コロナウイルスを退治するには自分の持つ免疫力が頼りで、この免疫力の60~70%は腸にあると言われています。口から入ってきたものを消化・吸収・排せつする役割を担うのが腸だからです。

腸内環境が悪化すると免疫力が低下してしまいます。 腸内細菌のバランスを整えるのは発酵食品、細胞のバランスを改善するのは食物繊維やオリゴ糖です。食物繊維は排泄を促すイメージがありますが、腸の粘膜を修復する酪酸菌のエサとなります。

腸が炎症を起こすと免疫力が著しく低下します。炎症を抑える効果のある栄養はポリフェノール類やEPAなどのn3系不飽和脂肪酸です。

また、前述した通り免疫細胞の素材はタンパク質です。免疫細胞の機能を強化するには ビタミンAやビタミンEが大切、免疫細胞の保護には亜鉛やセレン、銅、マンガンなどのミネラル類が不可欠です。

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