3年間の無申告で1億3,000万円を超える所得をお笑い芸人のチュートリアル・徳井が隠していたことで報道各局が騒いでいます。
節税対策で経営する個人会社経由で芸人としての報酬を受け取っていて、この所得が3年間無申告だったようです。彼は『悪質な所得隠し』と判断し、一番重いペナルティである重加算税が課せられました。
※ちなみに『脱税』は事件、『所得隠し』は不正、『申告漏れ』はミスと判断されます。
”働き方改革”で働き方が増え、個人事業を営む人が増えました。何を隠そう、私も<個人事業を営む人>の1人です…ロクな収入はありませんが。
個人事業は誰でも勝手に始められますが、納税義務があるので所得に応じた税金を納める必要があります。個人事業を営む人の場合、所得税や住民税の他に、ある対象の業種の場合は個人事業税を払う義務があります。
今回は個人事業税についてまとめました。
個人事業税は事業を営む個人に課せられる税金
『個人事業税』は<事業を営む個人に対して課税>する県の税金です。個人が納めている所得税や住民税とは別の税金で、事務所や事業所を設けている都道府県に納める必要があります。
なぜ個人事業税なんて税金があるのか?
それは事業を行うにあたり「道路などのインフラを始めとした公共サービスを利用しているから」です。そのため個人事業税は公共サービスの経費の一部にあてられています。
個人事業税は所得税の申告(確定申告等)のときに算出される「事業所得」と「不動産所得」に基づいて課税されます。
個人事業税額の計算方法(事業所得の場合)
個人事業税額={(総収入金額-必要経費)-事業主控除額}×税率
事業主控除額は所得額にかかわらず一律で年290万円です。年の途中で開業・廃業した場合は事業を営んでいた月数で月割りした金額が事業主控除額となります。
仮に、青色申告特別控除前の総収入金額が700万円、必要経費が400万円、税率5%の事業を営んでいるAさんの個人事業税は5,000円です(繰越控除額等は0円の場合)。
個人事業税額 = {(700万円-400万円)-290万円)} ×5%
= 10万円×5%
= 5,000円
※青色申告特別控除額は差し引くことができない
個人事業税は特定の事業を営む人のみが対象
個人事業主全員に個人事業税を納める義務があるわけではありません。個人事業税を納める義務のある個人事業主等は、地方税法第72条の2で規定されている事業(業種)を行っている個人です。
会社員じゃあるまいし個人が営む業種がなぜ分かるのか?
それは開業届に業種の記入欄があるからです。この業種欄に何と書くのかには明確なルールや線引きがないので個人の感覚次第です。後述しますが、「こんな仕事をしている」の表現のし方次第で個人事業税が課税されたり、課税されなかったりするので注意が必要です。
区分 | 事業の種類 | 税率 |
第1種事業 (37業種) | 物品販売業 不動産貸付業 飲食店業 印刷業 駐車場業 請負業 製造業 運送業 など | 5% |
第2種事業 (3業種) | 畜産業 水産業 薪炭製造業 | 4% |
第3種事業 (28業種) | 医業 弁護士業 理・美容業 クリーニング業 など | 5% |
第3種事業 (2業種) | あんま・はり・きゅう等の業 装蹄師業 | 3% |
文筆業など”芸術系”は個人事業税の課税対象外
文筆業(ライター業)、翻訳業、漫画家、画家、音楽家(ミュージシャン)、スポーツ選手、芸能人といった職種は法定業種ではないため個人事業税の対象外です(※あくまでも2019年10月現在の法律においてです)。
感覚的には”芸術系”は個人事業税の対象外です。
しかし、これら仕事をLancersなどを介して請負でやっているからと業種を「請負」としたり、画家でもイラストを描いているから業種を「イラストレーター」とすると個人事業税対象となります。
個人的な感覚ですが、同じ仕事内容でも表現次第で”技術系”と認識されると個人事業税の対象となる感じです。
個人事業税の納税通知書や領収証書は大切に保管
故人次号税の税額は所得税法上の「必要経費(租税公課)」として認められるので、納税通知書や領収証書は大切に保管しておく必要があります。
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