先日家族旅行で忍野八海に行ったとき、池の1つにダイバーが潜っていました。最初は研究目的とかで水生生物を採取しているのかと思いましたが、上がってきたダイバーの手に持つ網の中身にビックリ!
網に入っていたのは大量の硬貨でした。
近くの店の人に訊くと横浜からきたボランティアのダイバーさんとのこと。目的は池の掃除。キレイな水に投げ込まれれば硬貨だってゴミ扱いです。
なぜ人は水に硬貨を投げ入れたくなるのか?
思い返せば過去色々な水の中に硬貨が沈んでいるのを見てきました。神社や寺の池や手水場、公園の池や噴水、テーマパークの水の中。水があるところ至る所に硬貨が沈んでいます。この何故について、持論を含めてまとめてみました。
スポンサードリンク水の溜まっている所に硬貨を投げ入れる目的は2つ
人が水に硬貨を投げ入れる目的は「潔斎」または「欲」と私は考えます。
「潔斎」とは神仏と関わる前に沐浴などして心身を清めることです。実際に水に入って身を清めるのは無理だから、硬貨を自分の身代わりにして清めて神仏と触れ合おうという考えです。
「欲」は2つ。1つは「願い事を叶えたい」という欲、もう1つは「お金を増やしたい」という欲です。
1つ目の「願い事を叶えたい」は賽銭の感覚です。特に日本の池には神仏を祀っていることが多いです。忍野八海でも8つの泉それぞれで八大竜王を祀っていました(ここに八大竜王に係る伝説があるわけではない※後述)。
2つ目は”銭洗弁天”の存在によるものです。銭洗弁天には「そこで銭貨(硬貨に限らず紙幣も)を洗うと何倍にもなって返ってくる」という信仰があります。境内社として銭洗弁天がある寺社も多いです。
忍野八海は江戸末期に八大竜王を祀り巡礼路が整備された
忍野八海の名前、山梨県なのになぜ”海”なのか?それはかつて富士講の人たちが富士登山のときに8つの湧泉を巡礼する「八海巡り」から来ています。古くは清じゃたちがここで登頂前に水行を行っていました。
忍野八海の各池に八大竜王を祀ったのは1843年の江戸時代。この数年前にいまの山梨県である甲斐国を皮切りに全国規模に広がった百姓一揆(天保騒動)が起きています。飢饉で農業一本化であるのは危険と感じたのか、忍草の人たちは観光業に力を入れて忍野八海を作り上げ、出口池を一番霊場、菖蒲池を八番霊場とする巡礼路を整備しました。
賽銭を奉納する目的は祈願?御礼?それとも…浄罪?
賽銭(さいせん)とは祈願成就のお礼として神仏に奉納する金銭です。古くは米や幣物(布帛、衣服、武具、神酒、神饌など)が奉納されました。賽銭は賽銭箱があったらその中に、賽銭箱がなければ神仏や地蔵尊の前に置くのが一般的です。
古来神仏に祈願する場合は主として五穀を紙に包み奉納ました。五穀とは古代主食とされた5種類の穀物で、米・麦・粟・豆・黍または稗です。
次第に貨幣経済が発展すると奉納物も銭貨になり、自然に賽銭箱が置かれるようになりました。2014年には電子マネーで奉納する寺社も登場しています。
賽銭はお金を投げ入れる音に効果があるという考えもある
賽銭には「浄罪」を意味しているという説もあります。その考え方の起源は日本書紀の「罪を素戔嗚尊(スサノオ)に負わせ、贖罪の品々を科して差し出させた」という件です。参詣した人が自身の罪を金銭に託して祓うとする説と、箱に硬貨を入れる音で罪祓おうとする説があります。
硬貨の投げ入れる音……「Pay Pay♪」でも効果あるのでしょうか。
10円玉の微量金属作用は水をキレイに保つ効果がある
硬貨の中でも10円玉には多少なりとも水をキレイにする効果があります。
10円玉の成分は銅が95%(残りは亜鉛と錫)。銅でできている10円玉を水の中に入れておくと微量の銅(銅イオン)が水の中に溶けだし、微量金属作用で雑菌の繁殖を抑えられて水がキレイに保てます。
「10円玉を花瓶に入れておくと切り花が長持ちする」というのも、この10円玉の微量金属作用が理由です。他にも銅イオンはボウフラが羽化するのを防ぐため、蚊の発生を抑えることができます。
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