サイトアイコン 「  」

高速道路料金、二輪車区分新設で安くする案提出

日本の有料道路の料金設定は償還主義。「道路の建設費の借金を返済し終える〇〇年後には通行料は無料になる」という仕組みですが、無料になるどころか利用者の減少や人件費の増加等により値上げする傾向があります。

先日山梨県に遊びに行くときに雁坂トンネル(国道140号の山梨県と埼玉県の県境にあるトンネル)を使いました。軽自動車で580円。秩父市内にある販売機で割引通行券を買っても片道540円…高いです。

ここで気になったのが雁坂トンネルの原付の通行料の70円。排気量125ccを超える二輪自動車は軽自動車と同じ区分で580円なのに125cc以下の原付バイクは70円。車両の大きさや重量が大きい方が道路をより傷めるので、大きくなる方が修繕費を多く負担するのは理屈として解りますが排気量が違うとはいえ原付バイクと二輪車でそんなに道路に与える影響がそんなに違うんでしょうか。

普通自動二輪の免許をとって1年ちょっと程度の私が感じる様な疑問はとっくにバイカーたちの間で不満となっていました。そして不満と交渉を積み重ねた結果、高速料金の区分に二輪車の区分を新設する案が出たことが分かりました。

スポンサードリンク

バイクメーカー大手4社が中心に交渉を進める

日本には世界に誇れるバイクメーカーが4社もあります。これらメーカー4社が中心となり色々な団体も参入して二輪自動車の高速道路利用料値下げの交渉がされています。

交渉自体は何年も前からありましたが、2016年頃から会合に進展が見られます。二輪車問題対策プロジェクトチーム(PT)が自由民主党の正式機関として政務調査会に設立されたからです。

そして2019年3月に大きな進捗があり、次のような具体的な料金案が出ました(第13回会合)。10年以上バイク環境の改善に取り組んでいる自民党二輪車問題対策PTの逢沢一郎座長は「これを実現することがPTの総意」と発言しているようです。

バイク環境改善のために全国オートバイ協同組合連合会があげた要望

全国オートバイ協同組合連合会(AJ)の要望は次の6点です。

1 二輪車のETC料金導入とETC購入助成金の支給
2 二輪車の高速道路通行料金車種区分の独立
3 125cc未満の新車販売時におけるインセンティブの支給
4 二輪車の軽自動車税増税分等を充当することによる二輪駐車場
5 小型限定普通二輪(125cc)免許取得時の負担軽減
6 バス専用通行帯の運用基準の統一と二輪車の高速道路・路側帯の避難利用

「5.小型限定普通二輪(125cc)免許取得時の負担軽減」については2018年7月に道路交通法施行規則の一部が改正され、排気量125ccまでのATバイクに乗れる「AT小型限定普通二輪免許」の取得要件が緩和され【普通自動車免許所持者に限り最短2日間(2日間教習)で取得可能】となりました。

『2日間教習』は従来3日間で行っていた技能8時間・学科1時間の教習を2日間に集約したものです。 一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会(全指連)の調べでは2日間教習を実施している教習所は全国で222校あります(2019年8月現在:最新情報については全指連の公式サイトを確認してください)。埼玉県で2日間教習を実施している教習所は6校です。

学校名住所即日教習
かごはら自動車学校 熊谷市拾六間726
埼玉本庄自動車学校 本庄市寿3-1-43
レインボーモータースクール 和光市下新倉5-27-1
古谷自動車教習所 川越市大字古谷上6058
いわつき自動車学校 さいたま市岩槻区大字慈恩寺880
アンモータースクール さいたま市西区大字二ツ宮797-1

二輪車対策PT座長の逢沢一郎議員ってどんな人?

逢沢一郎議員は2019年8月上旬に違法売春疑惑で文春砲を打ち込まれましたが、当選11回・スキャンダルなしの大物代議士で自民党の二輪車対策プロジェクトチーム(PT)の座長を務めています。

2年前にResponseが逢沢代議士に対しバイク環境を改善するための取り組みと施策についてインタビューしています。

都市部における駐車場を適切に確保していく、これも大切。道の駅を始め、高速道路のSA/PAに、女性ライダーの休憩スペースやライダーの交流スペースを充実させていきたい……、といくつか課題がある。

が、何と言っても、大きなテーマは高速道路の新料金体系を作り上げるということ。現在の軽自動車“等”の中にバイクが位置付けられている。これを分離する状況をぜひ確保しなければならない 。

逢沢一郎議員…バイク環境改善のテーマは「料金」と「免許」【インタビュー】 |Response

徴収された高速道路の通行料金の使い道

NEXCO中日本の公式サイトによると、高速道路の通行料金は上の2点に使われています。法律で通行料金を「利益」として会社の運営費等に充てることはできないようになっているので、純粋に道路のために使われています。

日本の高速道路の通行料金は世界から見て比較的高いです(世界一高い説もある)。それは 償還主義、つまり<道路の建設費(借金しているので元金と利息)と維持管理費等を〇〇年間の通行料で賄う>という方式をとっているからです。

但し、〇〇年間は以前は45年間。それが2014年に老朽化の修繕等のための工事で返済期間は最長60年間になっています。

重い車ほど道路を傷めるので通行料が高くなる

高速道路の料金区分は車両の大きさに基づいて次の5段階に分かれています(軽車両通行可の有料道路は6段階に分かれていることが多い)。重量が大きい車両ほど道路を損傷するので維持管理費がより必要になるからです。

二輪自動車はサイドカー付きのものも含め「軽自動車等」に分類されます。これに対する不満が募り、全国オートバイ協同組合連合や二輪車問題対策PTは「二輪車の高速道路通行料金車種区分の独立」を訴えています。

二輪自動車の重量は軽自動車の重量の20%程度

我が家にある車両の各重量を調べてみました。

重量一般的な通行区分
ステップワゴン1,620~1,750kg普通自動車普通車
N-BOX890~1,030kg軽自動車軽自動車
MT-25165kg250ccバイク軽自動車
クロスカブ110106kg原付バイク軽車両

重量が道路に与えるダメージの度合いを、普通自動車を100とした場合は次のようになります。

普通自動車100
軽自動車57.0
250ccバイク9.8
原付バイク6.3

軽自動車が57.0に対して二輪自動車はわずか9.8。確かにこの結果で同じ通行区分(通行料金)ということに違和感があります。維持費のみで考えるならば各車両の通行量は軽自動車は普通車の6割程度、二輪自動車は普通車の1割程度でよいことになります。

スポンサードリンク

モバイルバージョンを終了