新生児はビタミンK2を摂取します。シロップ状のものを飲ませることが多いので、「K2シロップ」ということも多いです。
飲ませるタイミングは産院によって異なりますが、うちの子の場合は「生後すぐ」「生後5日目(退院時)」そして「生後1カ月目」でした。
最初の2回は病院側が飲ませてくれるので、保護者が飲ませるのは「生後1ヶ月目」の1回だけというケースが多いようです。
新生児がビタミンK2を摂取する目的
新生児と乳幼児のビタミンK不足を予防するためです。
人工的な粉ミルクを飲ませていると一定量のビタミンKを補給できますが、 母乳だけだとビタミンKが不足することがあります。そのため完全母乳で育てる場合、指定の3回分の他に病院からの生後3ヶ月頃まで飲む分のビタミンK2シロップが処方されることがあります。
ビタミンKが不足してしまうと?
ビタミンKが不足すると「ビタミンK欠乏性出血症」になる恐れがあります。
赤ちゃんの場合は「乳児ビタミンK欠乏性出血(症)」と言われ、産まれてまもない新生児や乳幼児のビタミンKが欠乏することによって出血しやすくなってしまいます。
ビタミンK欠乏性出血症は怖い病気ですが、 乳児ビタミンK欠乏性出血はビタミンK2シロップの適切な投与でほとんど予防することができます。
ビタミンK不足の徴候
一般的に「皮膚に青あざができやすい」「便に血が混じる」の2つが多いようです。
赤ちゃんの場合は生後1~2ヵ月の頃に頭蓋内出血してしまうことがあります。頭の中に出血が起きると機嫌が悪くなったり、嘔吐・吐血したり、気を失うなどの意識障害の症状が現れます。
赤ちゃんにビタミンKが少ない理由
赤ちゃんにビタミンKが少ないのは、ビタミンJを作る腸の細菌が少ないことが原因です。
赤ちゃんは基本的な栄養を母体からもらって生まれてきますが、ビタミンKは胎盤を透過しにくいため生後すぐに不足しがちです。
ビタミンKが十分にあっても、「ビタミンKによって血液が固まる働きそのものが弱い」「ビタミンK2を吸収するのに必要な胆汁の分泌を低下させる病気」のときは ビタミンK欠乏性出血症になることがあります。
ビタミンK不足が疑われたら?
まず、不安な場合はかかりつけ医などに相談をします。
症状からビタミンK不足の可能性がある場合は血液検査が行われて、血液の固まりやすさなどが調べられます。赤ちゃんの場合は約8割が頭蓋骨内出血を起こしてしまうので、頭部CT検査も行われることが多いそうです。
ビタミンKの役割
血液の凝固
ビタミンKは出血したときに血液を固まらせる働きに関係があります。 出血時に血液を固める成分は肝臓が作りますが、そのときにビタミンKが使われます。
組織の石灰化
ビタミンKには他にも骨の主成分であるカルシウムの石灰化をサポートして丈夫な骨を作り、骨がスカスカになるのを防ぐ効果もあります。また、骨の形成にはビタミンDも重要です。
乳幼児におすすめなビタミンDの補給方法は肝油ドロップですが、おおよそ1歳以上にならないと肝油ドロップの服用は難しいです。
ビタミンK2シロップを飲ませ忘れた場合は?
ほとんどの赤ちゃんの場合は 「ビタミンK欠乏性出血症」 を予防するためにビタミンK2シロップを飲ませているため、気づいたときに飲ませれば大丈夫な場合がほとんどです。但し、治療目的で服用させている場合は別です。
また、1回の用量は必ず守ります。退院時にも飲ませ忘れてしまったからと、2回分をまとめて飲ませてはいけません。服用し忘れが2回分ある場合はかかりつけ医などに相談し、一定の間隔をあけて投与するのがほとんどです。
妊娠・授乳中は積極的にビタミンKを摂取しよう
ビタミンK欠乏性出血症を防ぐには、母親の血に含まれるビタミンKの量を増やすことも有効です。授乳中は納豆や野菜などビタミンKを含むものを積極的に摂取すると、母乳に含まれるビタミンKを増やすことができます。