東京都議会議員選挙が終わり、新興の都民ファーストの圧勝、古参の自民党の惨敗という結果となりました。東京都議会議員選挙は国政の先取りをすると言われているので、国の政治はどうなるかと現在の内閣が注目されています(関連記事:意外と知らない!自衛隊の基本と歴史)。
ここで気になったのが…いまの日本って大臣が何人いるの!?です。学校の授業で習ったことのないような大臣の名前もチラホラ見られ、大臣って増えたりするのかどうかの様な基本的なことを知らないことに気づきました
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【目次】
● 時代や制度で変わってきた大臣
● 閣僚は原則最大17人
● 閣僚の任命と選定ルール
時代や制度で変わってきた大臣
『大臣』とは重要な国務に係る高官ですが、時代や制度により内容が異なります。『大臣』という職は古墳時代のヤマト王権から存在しており(この頃の読みは”おおおみ”)、大王の政務をサポートする役職でした。
7世紀後期(飛鳥時代の後期)に始まった律令制において、『大臣』は重要な政治決定を司った太政官(司法・行政・立法を司る最高国家機関)のトップであり、太政大臣、左大臣、右大臣の3種類がありました。ときおり古典に登場する内大臣は律令に規定されていない官職(令外官)で、現実的な政治課題に対して柔軟かつ即応的な対応を行うために置かれました。大臣は当時の貴族たちの最高の栄達の象徴でした。
1868年の明治維新後は政府の官制は改廃を繰り返され、1885年に西欧の政府機関を模倣した新しい国家運営の制度である内閣が設置され内閣総理大臣と各省のトップである国務大臣たちが制定されました(宮内大臣のみ省のトップではない大臣)。
しかし内閣は現在の内閣と大きく異なっており、1889年に公布された大日本帝国憲法では天皇が統治権を総括しており、国務大臣たちは天皇のサポート(輔弼)でした(内大臣は宮中の事務を司る閣外の存在)。内閣府のトップである内閣総理大臣はあくまでも同輩中の首席であり、その権限はいまほど強力ではなく閣僚を罷免する権限などはありませんでした。
現在の日本の内閣の形が規定されたのは1947年の日本国憲法の施行で、同憲法において行政権は内閣に属する事になり、内閣はトップである内閣総理大臣とその他の国務大臣たちで組織されることになりました(憲法66条)。広義では内閣総理大臣も『大臣』の一人とされていますが、狭義では選挙を経て天皇から任命される内閣総理大臣と、その内閣総理大臣から任命される各国務大臣たちは別のもの定義されています。
閣僚は原則最大17人
1947年に制定された内閣法において閣僚14人以内とされ(内閣総理大臣を除く)、特別に必要がある場合は3人まで増員することができ17人以内とすることができます(内閣法2条)。1人が複数の国務大臣職を兼任することができます。
しかし2016年8月3日に発足した第3次安倍第2次改造内閣の閣僚名簿には内閣総理大臣を除いて閣僚が19人います。それは2つの”特別法による特例”により現在は閣僚の上限が2人増えているからです。
国務大臣が2人増えて特別法の特例
● 復興庁設置法(2012年)
● 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別設置法(2015年)
特例による国務大臣の増員は期間限定です。復興庁設置法による増員は「復興庁が廃止されるまでの間」、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別設置法による増員は「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部が置かれている間」とされています・
閣僚には各省の長や国家公務委員会を統括する代表のように特定の行政分野を担当している「主任の大臣(行政大臣)」と、行政事務を管理していない「無任所大臣」がいます。主任の大臣の場合は担当している各省庁の名称からとった大臣名(財務省ならば財務大臣)となるのが通例ですが、無任所大臣については名称が定められておらず必要に応じて名前が定められます。
閣僚の任命と選定ルール
内閣のトップである内閣総理大臣は国会の議決により指名され、その国会の指名に基づいて天皇が任命します。新しい内閣総理大臣が任命されると前内閣はその地位を完全に失います。一方で内閣総理大臣以外の国務大臣は内閣総理大臣によって任命され、天皇によって認証されます。
内閣総理大臣および国務大臣は文民でなくてはいけません(日本国憲法第66条)。また国務大臣の過半数は国会議員にて構成されなくてはいけません(衆参問わず)。任命時において国会議員でない国務大臣は「民間人閣僚」と言われます。現在の閣僚は最大19人任命できるので、9人までは民間人でも良いことになります。
民間人閣僚としてな岸内閣の藤山愛一郎氏(外務大臣)や小泉内閣の竹中平蔵氏(経済財務政策担当大臣、金融担当大臣)や川口順子さん(環境大臣、外務大臣)が有名です。民間人閣僚は官僚、大学教員、実業家、地方公共団体首長など、実績のある人物が任命されることが多いです。
国務大臣が国会議員の地位を失っても、その内閣の過半数が国会議員であれば、国務大臣が国務大臣の地位を失うわけではありません。但し内閣総理大臣は国会議員であることが在職要件となっています(内閣総理大臣は国会の議決により指名されているため)。
また内閣総理大臣には国務大臣を任意に罷免する権利があり、時期や理由を問わず(法的な制約なし)総理大臣の自由な裁量により決定することができます。
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