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看板に書かれた「罰金〇円」は効力がある?

近所のゴミ捨て場の前を通ったときに「ルールに従わない者は罰金5万円を支払うこと」という看板がゴミ捨て場のところに立っていました。「カラスや猫が荒らして管理(掃除)が大変なのかな」と思いつつも、罰金5万円は少々厳しい内容のような気もします。

思えばこの「罰金〇円」という表示(看板)は意外とそこかしこで見かけます。月極め駐車場やコンビニの駐車場が多いですね。罰金の額も1万円~5万円と幅があり、表示によっては”警察に連絡する”といった内容が書かれていることもあります。

困っているようだから大目に見ようという”優しさ”も欲しいですが、他人への迷惑を考えず自分本位なモラルの欠如も問題だ…と、我が家の駐車場に遠慮なくかつ堂々と入って車を行き交わす人を見ながら思う日々です。

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無断駐車に罰金はないけれど損害賠償は必要

”罪を犯したら罰金を払う”ということは定着しており、小さな子どもからお年寄りまで何かと約束しては”罰金”という単語を使います。街のいたる所でも「〇〇したら罰金」と書かれている看板・貼り紙を見かけます。

しかし実際に〇〇したらどうなるのでしょうか。罰金を支払わなくてはいけないのでしょうが。それが不条理な価格でも?インターネット上の質問掲示板や弁護士への相談にもこの手の質問はたくさんあります。では〇〇したら本当に罰金を支払わなくてはいけないのでしょうか?

【目次】
● 罰金は刑罰である
● 「書いてあるでしょ!」は正当ではない
● 他人の権利や利益を侵害してはいけない

罰金は刑罰である

「罰金」とは刑罰の一種で、違反を犯した者(行為者)から強制的に金銭を取りたてる財産刑です(行為者の資産等は関係ない)。但し「罰金」は国家だけが個人や法人に対して科すことができる刑罰であり、個人や法人が個人や法人に対して科すことはできません。

つまり看板に書かれた「罰金〇円」の”罰金”という表現は誤りであり、この文言に法的根拠はありません。知恵袋などネット上の質問掲示板には無断駐車をして罰金を請求されたという相談が多数寄せられており、回答には「無断駐車をしても書かれた罰金を支払わなくても良い」と書かれていることが多いです。ただし、無断駐車をしたことで”罰金”を支払う義務はありませんが”損害賠償”はしなくてはいけない点に注意しましょう。

「書いてあるでしょ!」は正当ではない

無断駐車トラブルにおいては「看板や貼り紙で”事前告知”していたから罰金〇円は有効」と主張する(される)ケースもあります。ここで注意したいのは”事前告知”が有効かどうかで、看板や貼り紙で一方的にした事前告知は無効です(”罰金”という表現の正誤は無関係)。

事前告知を破ったという場合は違約金を支払う義務が発生しそうですが、違約金の支払い義務を確立させるには”貸すこと”と”借りること”の関係(契約)を双方の合意のもとで事前に成立させておく必要があります。看板や貼り紙と言った方法では一方のみの主張であり、このように双方の合意が成り立っていない場合は事前告知(契約)は成立せず支払い義務も生じません。ただし、無断駐車をしたことで”違約金”を支払う義務はありませんが”損害賠償”はしなくてはいけない点に注意しましょう。

他人の権利や利益を侵害してはいけない

他人の権利や利益を侵害する行為は不法です。つまり無断駐車をすることは他人の権利や利益を侵害する行為なので損害賠償の必要があることは理解しましょう。「ちょっとの間だけなのに」などは理由になりません。問題は損害賠償額の金額ですが、実損額であり決まっていません(上限額なし)。知恵袋などネット上の質問掲示板には無断駐車をしたときの賠償請求金額は周辺の有料駐車場の代金から算出するという回答がありますが、妥当な算出方法であれ損害賠償額としては正当性が残念ながら主張できません(高額請求されたときの反論としては弱い)。

法律は解釈が全てであり、無断駐車による損害賠償で求めていいところ・求めてはいけないところの線引きは明確ではありません。だから「そこまで請求されるの?」と思う金額を請求されることもありますが、実損額として認められたならば支払う義務があります(民法709条)。そのため無断駐車トラブルはしばしば弁護士沙汰(裁判沙汰)になります

弁護士や裁判が必要になると必要費用は高額になります(できるだけ自治体が主体の安価な法律相談を利用しましょう)。実際にトラブルになった人の例を見ると多少面倒くさくても有料駐車場などを利用した方が良いなと実感します。また知らずに無断駐車してしまった場合は誠意をもって謝罪をするようにしましょう(看板や貼り紙があった場合は”知らなかった”が通用しにくいです)。

看板や貼り紙に書かれた「罰金〇円」に法的根拠はありませんが、無断駐車はその程度の金額を請求される程度の迷惑を与えることであり、実際に”賠償請求”という形で同等以上の請求がされる可能性があることは考えておきましょう。

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