責任を果たせない高齢者の起こした交通事故の責任はどこまで拡がるのか

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2019年4月19日の昼間、池袋で87歳の高齢男性が運転する車が暴走して歩行者らを次々とはね、警視庁と東京消防庁は10人が負傷したと発表しました。そのうち自転車に乗って横断歩道を渡っていた30代の母親と3歳の娘の死亡がその後確認されました。暴走車は2ヶ所の横断歩道で複数人をはね、ごみ収集車と衝突してとまりました(ごみ収集車は横転)。

今回事故を起こした87歳男性は元通産相工業技術院の院長という社会的立場の高い人。約2年前の免許更新時に受けた認知機能検査で異常がなかったようですが、多数の取材で運転に危うい点があったという証言がありました。

我が家の周辺にも高麗者ドライバーはとても多いです。娘のクラスメイトのパパはコンビニの駐車場を歩いているときに高齢ドライバーが運転する車と衝突し、腕が上手く上がらなくなってしまったそうです(現在相手方と協議中)。

高齢者の事故は「どこまで責任がとれるのか」が気になります。また、いつか私たちも高齢者になることを考えると、高齢者が起こした事故の責任をどこまで負うかという点も気になります。

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法律では加害者家族に賠償責任はないことが基本

交通事故の場合、損害賠償責任は直接の加害者(=運転者本人)【のみ】が負うのが基本です。直接の加害者の家族・兄弟・親族という【だけ】で交通事故の損害賠償責任を負担することはありません。

しかし、加害者に損害賠償の支払い能力がない場合(任意保険などに加入していない場合も含む)、次のようなケースでは家族や兄弟等が責任を負担する可能性があります。

  • 加害者に車を貸していた場合
  • 加害者に送迎や買い物を依頼するなど、加害者の運転により利益や恩恵を受けていた場合
  • 加害者を雇用している場合(その業務執行に関する事故に限り)
  • 加害者に雇用されている場合(その業務執行に関する事故に限り)
  • 認知症など責任無能力者と認められた加害者の監督義務者である場合

現実は加害者家族に「道義的責任」が圧し掛かる

交通事故を起こした場合、『刑事責任』、『民事責任』、『行政責任』、『道義的責任』 の4つの責任があります。

  • 刑事責任…刑法に定められている懲役刑、禁固刑、罰金刑など
  • 民事責任…賠償責任(被害者に対して慰謝料を支払う責任)
  • 行政責任…公安委員会による道路交通法違反に対しての処分(反則金の支払い、運転免許証の停止や取り消しなど)

上の3つについては法律が決めてくれます。しかし道義的な責任には【個人の裁量(道徳心)】が大きく関わっていて、高齢者ドライバーの事故の場合はときどきコレが大きな問題にあります。

今回の痛ましい事故でも、87歳の高齢男性は2年前の免許時に認知機能検査を受けて「異常ない」となっていたので法律的な問題はありませんが、周辺住人等からの証言により運転能力を疑う声があり道義的な問題が取り沙汰されています。

シルバーマークをつけて家族を守る

シルバーマーク(高齢運転者標識)は周囲の車に注意を促すので、高齢ドライバーが事故を起こす可能性が少しだけ低くなります。

シルバーマークは70歳以上の高齢者が運転している車であることを示すマーク(標識)です。交通事故を防ぐ能力が低下している高齢者は、交通事故の相手となる周囲の車に気を付けてもらうしかないからです。

シルバーマーク表示車の保護は法律で決まっている

周囲の運転者はシルバーマークを付けた車に対して、初心者マークを付けた車に対してと同様に、幅寄せ・割り込みなどの行為を行ってはならないと法律で決まっています(保護義務)。

この保護義務は初心者標識・身体障害者標識・聴覚障害者標識をつけた車と同様です。シルバーマークを表示した車には周囲の車が注意してくれるので事故が起こりにくくなります。

法律に反した場合は、初心者運転等保護義務違反に問われます(ただし、その行為が危険防止のためやむを得ない場合を除く)。5万円以下の罰金です。

次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。

九.

第七十一条(運転者の遵守事項)第一号、第四号から第五号まで、第五号の三、第五号の四若しくは第六号、第七十一条の二(自動車等の運転者の遵守事項)、第七十三条(妨害の禁止)、第七十六条(禁止行為)第四項又は第九十五条(免許証の携帯及び提示義務)第二項(第百七条の三(国際運転免許証等の携帯及び提示義務)後段において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

道路交通法第百二十条(第九項):道路交通法(2018年4月1日施行)

高齢者の交通事故を防ぐことはできません。高齢者は交通事故を防ぐ能力が低下しているからです。それならば、

高齢者は子ども同様に社会で支援する

自動車は自爆テロにも使われています。認知能力や操作能力が低下した高齢者が暴走する車はテロの意識がなくても立派な破壊兵器です。高齢者が交通死亡事故を起こしたニュースを見ると「高齢者に運転させちゃいけない」と思いますが、高齢者から運転免許証を取り上げるのは難しいです。

私も70歳近い母に長距離運転をやめさせることさえできていません。過疎化が進む地方は尚更で、免許返納した地方の高齢者の生活をサポートするのも不可能です。

不可能ずくしのなかで私たちができるのは【高齢者が運転する車に周囲が注意すること】です。そのために表示促進(義務化)して欲しいのがシルバーマークです。

75歳以上もシルバーマークの表示は未だ努力義務

運転においては70歳を過ぎた人は全員高齢運転者です。

運転能力や技術の高齢化については個人差がありますが、「高齢者」の規定は一律70歳以上、70歳を過ぎたらシルバーマーク(高齢運転者標識)をつける努力義務があります。

三.

普通自動車対応免許を受けた者で七十五歳以上のものは、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない

四.普通自動車対応免許を受けた者で七十歳以上七十五歳未満のものは、加齢に伴つて生ずる身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けて普通自動車を運転するように努めなければならない

道路交通法第七十一条の五:道路交通法(2018年4月1日施行)


75歳以上が該当する法律には附則があるので、現在は70歳以上の運転者全員が努力義務

第七十一条の五第三項の規定は、当分の間、適用しない。この場合において、同条第四項中「七十歳以上七十五歳未満」とあるのは、「七十歳以上」とする。

道路交通法附則第二十二条 :道路交通法(2018年4月1日施行)
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