野良妊婦は本当にいた!産院で遭遇した本当の話

―野良妊婦なんて本当にいるのか?―

病院を舞台にしたドラマで時々出てくる野良妊婦(未受診妊婦)ですが、本当にいるのか疑っていました。ドラマを盛り上げるためだけの存在だと思っていました。

そんな私が野良妊婦に遭遇しました。

それは二子を出産した日の夜中、もう明け方近い頃のことです、廊下から聞こえた先生の怒鳴り声で目が覚めました。

普段の先生は怒ることあるのかってくらい温和な人で、そんな人が「どうして受け入れたんだよ!」「なんでうちに来るの!」「他の病院に行ってよ!」と怒鳴っているんです。驚かないわけありません。

先生の怒りの原因が野良妊婦。それも自宅で一人で出産したものの出血が止まらず病院にきたという野良妊婦(16歳の高校2年生)です。

自宅のトイレや公衆トイレで出産とかドラマやマンガではあるシチュエーションだけど、約半日前に分娩台で出産した身では信じられない愚行!

ドラマやマンガでは描かれないけど、出産は「赤ちゃんをお腹から出したらおしまい!」じゃありません。赤ちゃんを産んだら、次は赤ちゃんをずっと包んでいた胎盤を出します(後産)。

赤ちゃんはお母さんのお腹の中で、お母さんの血液から栄養をもらっています。つまり赤ちゃんが出て切り離されたら、お母さんの体の血はボタボタ垂れ流しの状態になり、お医者さんたちが止血してくれるのです。

つまり、医療従事者を伴わない出産は危険極まりない!トイレに限らずきちんと消毒されていない不衛生な場所での出産も母子共に危険!

日本では安全な出産をするための仕組みが整っています。安全というのはお母さんと子ども、そして病院に対する安全です。仕組みには守らなければならないルールが存在します。妊婦のルールは所定の定期検診を受けることです。

野良妊婦はルール違反であり、安全な出産をするための仕組みを揺るがす存在です。

本来、野良妊婦ちゃんを病院が受け入れることはありませんでした。連絡もなく夜中に病院に来た野良妊婦ちゃんを、他の出産予定の妊婦さんと間違えて夜勤のスタッフさんが招き入れちゃったそうです。スタッフさんの話によると、自分で出産をしたものの胎盤の処理ができず(←当然)、いたるところに血を垂れ流していたそうです。

赤ちゃんは、こちらも何も処置できずに血だらけのタオルにくるまれて付き添いのお母さんが連れてきたとか。その日お母さんは初めて娘の妊娠を知ったという、いやはや何ともなパニック状態だったそうです。

こんな事態に先生は怒髪天をつく状態。野良妊婦ちゃんはトイレに籠城(おかげでトイレは血だらけ)、先生に怒られる野良妊婦ちゃんのお母さんはひたすら平身低頭。

やがて「来ちゃったものはしょうがない」「他に受け入れる病院はないだろうから倫理上受け入れるしかない」と先生たちは腹をくくりました。そして、まず私の産んだ子どもを私の入院している病室に隔離です(←だからここまで事情を知れた)。

定期検診を受けていない野良妊婦およびその胎児はどんな感染症をもっているか分かりません。我が子は生後1日未満の胎児、わずかな不手際が一生を左右する痛手となる可能性もあります。

産後間もない私も陰部に傷があり、野良妊婦ちゃんの未知の血で汚れたトイレを使うのは、消毒したときいても戦々恐々です。

所定の定期検診を受けていない未受診妊婦は本当に迷惑な存在です。

今回の野良妊婦ちゃんの命が助かったのはスタッフのミスという本来はないはずの幸運です。普通ならどこの病院にも受け入れてもらせず、命を落とす可能性さえあります。救急車を呼んでも、たらい回しとなってしまう可能性が高いです。

さて、野良妊婦ちゃんの問題はここで終わりません。野良妊婦ちゃんは未成年、お母さんは出産したときに娘の妊娠を知ったという家庭環境です。「父親は?」「赤ちゃんを育てられるのか?」の2点が重要な問題となります。

スタッフさんの話によると、父親も未成年(高3)、翌日彼と彼の両親が病院に呼ばれました。市のこういった問題の担当者も同席し、子どもは市の施設で預かることとなったようです。

施設で育つと聞き「可哀想」と反射的に思いましたが、貧困や虐待とかのことを考えると一概に父母が育てるのが良いとは思えず、真っ赤な他人のことながら悶々としていると、野良妊婦ちゃんとその彼氏が病院スタッフに連れられて病室に。当日の騒ぎで迷惑かけたと謝罪しにきました。

私が驚いたのは二人とも「申し訳ないんだよね?」と聞きたくなるほどニコニコしていることです。あなた(たち)病院にすっごく迷惑かけたんだよ?他の患者さんに何かの病気が感染したとかだったら医療裁判を起こされて病院は一発で廃業、病院で働く人たちから職を奪い、病院を利用している地域の人たちに迷惑かけることになったんだよ?

しかも野良妊婦ちゃんの腕には施設にいく赤ちゃんが。

本当に施設にやるの?なんて聞きたい気持ちを我慢する必要なし。本人たちが呆気らかんと「この子は施設に預けて、お金がたまったら迎えにいくんです」といい、「これから名前を決めなきゃいけないから大変なんですよ」とニコニコ、ニコニコ。

「お金貯めるって…二人とも高校やめて働くの?」と聞いてみれば「俺は今年卒業して就職するんで」と彼氏、ちょっと納得したのもつかの間で「私は高校卒業したら東京の大学に行きたいんです」と野良妊婦ちゃん。

ちょっと待て!なぜ進学?お金たまったら迎えに行くって、子ども待たせてるんだよね?

唖然とする私に「大学行きましたか?楽しいですか?」と野良妊婦ちゃん。いやいや、あんた母親なんだから楽しいかどうかじゃなくて、せめて大学出たら就職有利かとか聞こうよ…

私の印象では二人ともドラマの主人公にでもなったかのようにいまの状態に酔っている感じでした(同席していたスタッフさんにあとから聞けば彼女も同意見)。

自宅で出産して、血だらけになって病院に来てれば十分ドラマチックだけどね!!どれだけそれが非常識で、どれだけの人に迷惑かけたか!!そしてこれから先、どれだけの人に迷惑をかけるか分かってんのか!!

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takka

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