東名あおり運転の裁判始まる。審議は6日間、判決は12月14日に申し渡される。

東名あおり運転の裁判が2018年12月3日に始まり、6日間の審議を経て14日に判決がでました。今回の論点だった”危険運転致死傷罪”が適用され懲役18年です。

この事件は”あおり運転”について社会が注目するきっかけになった事件で、あおり運転にたいする防衛策としてドライブレコーダーを装着した自動車が増えました。「ドライブレコーダー撮影中」というステッカーを貼るだけも、抑制効果としては大きいようです。

今回の懲役18年という判決には「軽過ぎる」「いささか重い」と相反する意見が見られます。今回の判決で「あおり運転をすると懲役18年の刑罰」という実例ができたので今後の抑止効果に期待します。

「東名あおり運転」とは?

「東名あおり運転」とは、2017年6月にあおり運転された末に夫婦が死亡した事故です。”あおり運転”が注目されるようになったキッカケになった事件です。

事件の初公判は2018年12月3日に横浜地裁(深沢茂之裁判長)で始まり、傍聴席(43席)に対して472人が列を作りました。翌4日には当時事件に居合わせた萩原御夫婦の娘(17)が参考人として出廷しました。審理は10日まで計6日間行われ、判決が14日に言い渡されました。

求刑懲役23年に対し、懲役18年の判決です。

事件は2017年6月、石橋被告は東名高速下り線大井町で、萩原さん家族4人が乗るワゴン車に対してあおり運転を繰り返しまし、道路をふさいで中央分離帯傍の追い越し車線に萩原さんの運転する車を停車させて被告は萩原さんに対し暴行、さらに停車から約2分後に後続トラックが突っ込んだことで荻原さん夫婦が亡くなりました(乗車していた娘2人もけが)。

あおり運転のキッカケはパーキングエリア(PA)で萩原さんが石橋被告の駐車方法を注意したことです。石橋被告は逆ギレして家族の乗った車を追跡しました。

追突したトラックを運転していた男性は追い越しレーンを走行していたことや車間距離が短かったことなど、当時の自分の運転に関する過失を認め、3日の裁判で傍聴席にいた娘さん2人に対して「両親を奪い、大変申し訳なかった」と述べました

裁判においてこの一連の行為について石橋被告はおおむね認めました。弁護側も事実確認は争わない姿勢です。今回の<裁判の最大の焦点は『危険運転致死傷罪』の適用>です。
この石橋被告は事故当時は福岡県在住…福岡県の皆さまには大変申し訳ないですが、福岡・北九州・筑豊・久留米のナンバーの車は正直言って怖いです。飲酒運転の事故※といい、「大きな事故を起こす」と思ってしまいます。

※2006年に起きた飲酒運転により子ども3人が死亡した痛ましい事故です(参考:福岡の3児死亡事故から12年 飲酒運転ゼロへ誓い新た/産経新聞

危険運転致死傷罪の適用は?

危険運転致死傷罪は”運転中の事故”を想定しており、停車後に起きた事故に対する適用は異例とされていましたが、今回は速度ゼロでも適用されることになりました。

裁判中の検察側の主張は次の通りです。

  • 被告の一連の運転行為が被害車両に停車を余儀なくさせ死傷事故を誘発した
  • 運転と死傷との間に因果関係が認められ、同罪にあたる

対して、弁護側の主張は次の通りです。

  • 事故は停車してから約2分後に起こっており、運転中の事故を前提とする同罪の適用は法律の拡大解釈

中央大学大学院の井田良教授(刑法)は、<停車後の事故>かつ<降車しているときの事故>であることはゆるぎない事実であることから、因果関係の弱さを指摘していましたが(法律のはざまの難しい事案であることも意見)、裁判長は次のような理由を述べました。

「被告の車の4度の妨害運転により、萩山さんの車は停止せざるを得なかったというべきである。事故現場は高速道路の追い越し車線で、後続車両が追突する可能性は高く、生命・身体に対する危険性は極めて高かったと認められる」

<車を止めた行為や萩山さんへの暴行もあおり運転と密接に関連する行為>として、車を止めてから起きた事故であっても危険運転致死傷罪は成立すると判断されたのです。

検察官は懲役23年を求刑

犯行は執拗かつ極めて悪質

検察官は懲役23年を求刑し、弁護側は徹底して「危険運転過失致死は“運転中”に適用される」と反論していました。

14日に出た判決では懲役18年となりました。既存の法律を適用させていく上で難しい点が多々あり、一般的な民意を問うために導入された裁判員制度により裁判官3名と裁判員6名が今回の判決を決定しました(石橋被告は14日以内に控訴可能)。

今回の判決について高山俊吉弁護士は「私は罪刑法定主義がこの判決の中でないがしろにされたという印象を強く持ちます。裁判員裁判という形をとって、裁判員裁判だから市民は賛成するはずだということを、いわば一種の盾にして、新しい判断を裁判所に言わせたと思う」と意見を述べています。今回の判決は”法律<民意”という意見のようです。

この事件を機に変わった社会のポイント

1つは、警察庁があおり運転の摘発強化を全国の警察に通達し、摘発件数が増えたことです。1月~6月に摘発したあおり運転は6,130件、昨年の同期3,057件から倍増しました。

もう1つはドライブレコーダーの普及です。ドライブレコーダー協議会によると、2017年度下半期の出荷実績は約181万7000台で、上半期の約84万8000台から倍以上に伸びています。(参考:東名あおり運転に懲役18年、なぜ「殺人罪」が問われなかったのか/DIAMOND Online

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takka

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