石膏ボードで”燃えにくい建物”ができる

内壁や天井に石膏ボードが貼りつけられ、徐々に建物が完成に近づいています。現場には石膏ボードが大量に届き山のように積まれていました。
現場に届いた石膏ボード
続々と現場に届くため最近はずっとこの状態 photo by tuduri

使用されていた石膏ボードを見ると『タイガーボード』と描かれており虎の絵を見ることもできました。幼い頃からCMを見ていた”あの”タイガーボードかと妙な感動を覚えました。

使用したのは標準的な規格(GB-R、発熱性1級)の製品ですが、石膏ボードには吸湿性に優れたものや吸音性に優れたものもあるようです。今日は建材に使用される石膏(せっこう)について調べてみました。

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内装下地は耐火性の高い石膏ボード

石膏は紀元前7000年の古代エジプトでも建材として利用されていたそうです。1902年にアメリカのオーガスティン・サケット氏の発明により石膏ボードの原型ができましたが、石膏の耐火性に目をつけて17世紀のアメリカでは内装に石膏プラスターを厚く塗っていたそうです。

現在作っている我が家は「法22条区域」にあり一定の防火対策が必要です(ログハウススタイルの木造住宅を建てることは難しい)。石膏ボードは防火対策に必須の建材なのです。
壁に貼られた石膏ボード
断熱材をぎゅっと石膏ボードで押し込んで作る壁 photo by tuduri
天井に貼られた石膏ボード
喉が弱いひとは要注意!建築現場には石膏の粉がたくさん photo by tuduri

石膏とセメントは似て非なるもの

石膏とは焼石膏に水を混ぜ合わせて固まったものです。セメントも水と反応して固まるものですが、石膏はセメントよりも硬化が早く、セメントと違って硬化するときに収縮しないのでヒビが発生しないなど性質は異なります。

また石膏はリサイクルすることができ、製造過程でも有害なものを出さないエコでクリーンな製品です。石膏の両面に紙が貼られた石膏ボードにするとき接着剤を使うのではと思っていましたが、そもそも石膏ボードは石膏と紙を貼り合わせたものではないので接着剤から放出される有害物質も全くないそうです。

石膏ボードは接着剤を使用していない

石膏ボードは2枚の紙(「原紙」という)の間に石膏がありますが、石膏を固めて板状にしたあとに接着剤で原紙を貼りつけてはいません。2枚の原紙の間に焼石膏と水を練り合わせたものを流し込み、原紙の間で石膏を硬化させます。

焼石膏は水を加えられると、針状結晶(針のようにとがった結晶)を作りながら固まっていきます。この針状結晶が紙の繊維に食い込んで原紙と石膏は一体化していきます。糊や接着剤でくっ付いているわけではないのでぺりっと剥がすことも剥がれることもありません。

石膏は数分から数十分で硬化します(セメントの場合は数時間から数日)。焼石膏と水を混ぜたものを原紙の間に流し込んでただ待つだけなので、工場では1分間で何枚もの石膏ボードが簡単にできあがります。

石膏の耐火性の秘密は結晶内の水

この世界にある全ての物質は小さな原子や分子が互いにくっつきまくって大きくなっているものです。”くっつくこと”を科学では結合と言います。

ときおり物質の中には”水を含む”ものがあり、石膏もその1つです。”水を含む”というとギュッと絞れば水が出てくるとイメージしてしまうでしょうが、他の原子や分子がいろいろ結合してできた檻の中にがっちり囚われている水(「結晶水」という)なので絞っても水は出てきません。このように”水を含む”物質は「水和物」と言われます。

石膏を化学的な名称でいうと「硫酸カルシウム・2”水和物”」です。石膏を120~150℃で加熱すると結晶水が失われ焼石膏(硫酸カルシウム・半”水和物”)になります。焼石膏に水を加えれば石膏になり、石膏から水を取り除けば焼石膏になるため、”石膏はリサイクルが可能”と言われているのです。

この結晶水は石膏の耐火性の高さにも役立っているようです。計算すると石膏の約21%が結晶水であり、火や高熱に接すると燃える前に水を蒸発させ始めます。水が蒸発するまで燃えることはありません。紙を鍋にした料理と同じ原理で、火の熱は料理を温めることに利用され紙を燃やすことはありません。

我が家で使用している石膏ボードは1枚当たり3キロの結晶水が含まれているそうです。それが何十枚も貼られることで”燃えにくい建物”が作られるのです。

【参考/出典】
● 「せっこう」とは?/吉野石膏
  http://yoshino-gypsum.com/sekkou/what/index.html
● 石膏ボード(Gypsum board-Regular Type)/石膏ボード工業会
  http://www.gypsumboard-a.or.jp/type/regular.html
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takka

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