空き室が増えてもアパート造りは止まらない

近所で建物含めた比較的広い土地が売却されることになり、建売住宅が3棟造られることになりました。住人の高齢化により庭や畑の管理・整備に手が行き届かず、介護施設に入居するのを機に売ることになったそうです。

放置された畑の部分にはビニールハウスの残骸や柵の残骸が放置されていたので風で飛ばないか、火事の原因になるのではと不安でした。それぞれ事情があるでしょうが、同じエリアに家がある者としては正直安心できました

しかし建売住宅はまだ売れるのでしょうか。2015年、16年と建売住宅の販売数(契約成立数)は伸びてきましたが、少子化と高齢化問題は改善されず悪化さえしています。買い手は減っているのです。建売住宅同様にアパートもどんどん造られていますが、そんなに借り手はいるのかなと思っています。

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【目次】
● 金融機関のターゲットは地主たち
● 多過ぎるアパートをさらに作る理由とは?
● 「絶対安心」はあり得ないオーバートーク
● 需要を無視した景気対策のための建築

金融機関のターゲットは地主たち

日銀の「貸出先別貸出金」(2017年2月9日発表)によると金融機関が不動産向けに融資した金額は70兆3592億円(前年同月比7%増)で過去最高を更新しました。住宅ローンの低金利などが背景にありますが、今回の発表で注目したいのがこのうち約3割が「個人による貸家業への融資であること」です。

個人による不動産投資(アパート経営への融資が代表的)は2015年の相続税増税に端を発してこの2年間増加しています。何もない土地の上にアパートを建てることで相続税が激減するのです。金融機関としても景気の先行きが不安定な中で中小企業に融資するよりも、土地を担保に融資できるため(回収の見込みがあるということ)リスクが少なく好都合となっているのです。

多過ぎるアパートをさらに作る理由とは?

賃貸物件(主にアパート)はすでに供給過多の状態です。それを裏付けるのが住宅状況提供会社・タスが算出した実態に近いとされる空室率です(募集戸数を募集建物の総戸数で割って算出されるポイント制)。タスの発表によると首都圏アパートの空室率は2015年には30ポイント程度だったが、その後急速に上昇して2017年には35~38ポイントになっています。

実際に首都圏近郊では完成した新築アパートの入居率が50~70%と低迷しています。それでもアパート造りが止まらないのは地主たちの間で不満の声が上がらないからに他なりません。

”得する話”というのは誰かが得したのを真似ることで広まって時代のブームになり、実際は全員が全員得するわけもなく「話が違った」と不満を訴えることで”得する話”のブームは終息していきます。

しかし地主たちにとってまだアパート経営はまだ”得する話”です。このように実態と違うことが起きる理由は建築事業者による「家賃保証(サブリース契約)」です。サブリース契約により空室については80~85%の家賃が建築事業者から支払われ、地主は80~100%の家賃収入を得ることができ、「話が違った」という不満が訴えられることは少ないのです。

「絶対に安心」はあり得ないオーバートーク

アパートの建築費は一般的に1㎡あたり12~15万円かかります。1Kタイプの部屋で240~300万円/室、2DKタイプの部屋で480~600万円/室となります。アパートの総建築費(総数8戸)は1Kタイプで1,920~2,400万円、で2DKタイプで3,840~4,800万円が目安となります(諸経費は別途100~200万円)。

家賃などの収入は建築費のローン返済、管理費・維持費等の諸経費の支払いになります。それでもマイナスになると考えずにプラスの収入になると地主が考えるのは営業担当者の「サブリース契約があるので絶対に安心(収益になる)」「家賃が下がることはない」というオーバートークです。

実際に30年保証と言われている某企業のサブリース契約の契約書には「契約期間中の家賃は景気動向その他社会情勢の変化に応じて見直される」といった内容の記載があります。契約書をよく読めば「絶対に安心」はありえないことが分かりますが、営業担当者の煽りにのせられて契約書をきちんと読まないケースがとても多いです。

アパート経営において建築事業者が利益を得るのは一番最初のアパートの建築の段階です。某建築事業者の管理担当者によると、営業担当者は「作らせれば終わり」で後は知らんぷりが多いとのことです。実際に前面道路が細い・アクセスが悪いなど立地条件に恵まれていなくても、営業担当者は「絶対に安心」と地主に張りぼての安心を与えてアパート建設にこぎつけているのです。

需要を無視した景気対策のための建築

アパートなど建物などの建築は好景気を生み出します。そのため建築は需要を無視して景気対策のために行われ、空き室が目立つアパートを増産している状態です。もちろん空き室が増えて収入が減るのには経営努力が足りないなどの理由もありますが、絶対的な背景に人口減少があります。現代の日本にアパートが多過ぎるのです。

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takka

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